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Plucks From 1984『Sympathy, Misery And Jealousy』【手作り感溢れるMVから滲み出てくる美意識】

MV見てて、いろいろなドアに突入していく映像が続いて、こういうの好き。ただそれだけなんだけれども、楽曲がどうこうとかまったくどうでもよくて、こういう映像はそれだけで価値あるし、撮ってるの楽しいだろうなあと、見てるだけでワクワクしてくる。カメラとバンドマンで街をうろついて、おっ、ここのドアも良いじゃんね、みたいなこと言いながらその場その場で撮影して。そんな風に言ってしまえばいかにも行き当たりばったりのように思われるかもしれないが、「このドア良いじゃんね」がある以上「このドアはダメだな」「イマイチだよ、パスパス」みたいなことも必ずあるわけで、そういう現場現場での取捨選択の結果このMVは出来上がっているわけで、映像のひとつひとつに価値観や美意識が詰まっていて面白いのだ。撮影していて完璧を求めようとすると、どのドアもイマイチに見えてくるし、そうするとなかなか素材撮影が進まないし、天気も太陽の傾きも変わってくるし、その日のうちに撮り終わらなくなって、最悪の場合はMVが完成しなくなる。なので「うーん、イマイチだけど、一応押さえで撮っとこうか」みたいな妥協も行なわれたりして。結果1秒にも満たないカットだけどその裏にはそういう葛藤が必ずあるし、使われなかった没ドア映像もたくさんあっただろう。立派なセットも作らなければ高価な機材も使わないしもちろんドローン飛ばしたりもしないんだけれど、面白い映像は熱意とアイディアで作るという、インディー魂に溢れた映像と、もちろんバンドが大好きだなあと再認識できて嬉しい。サウンド的には、ペラペラなギターの音作りがとっても好きです。いろいろ頑張ってね。

(2019.1.28) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl