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Kitri『羅針鳥』【引き込まれる。ゾワゾワと、ゾワゾワと】

画面に引き込まれる。引き込まれると同時にゾワゾワとする。同じ衣装で同じヘアスタイルの女性が伏し目がちにピアノに向かい連弾をする。そのたたずまいがめちゃゾワゾワする。このゾワゾワは一体なんだと考えてみると、それは映画『シャイニング』の双子を彷彿とさせるからだなあという結論に。赤と黒という色遣いはシックスセンスに出てくるドアを思い出させる。ホラーだ。全体的にホラーを演出しているMVだと感じる。だからゾワゾワする。曲調もどことなく哀しげ。「占いに嘘」「軽い麻痺で全部疑って」といった断片的な言葉の連なりも詩的でざわつく。占いというものに期待を持って羅針としているはずなのに、それにさえ哀しみの目で距離を置く。京都のピアノ連弾ユニットだということだが、京都独特のシニカルな暗さを滲ませているようで興味深い。爆発的にヒットするということではないのかもしれないが、例えば小谷美紗子のような地道でかつ揺らがない活動の足取りを歩んでいってもらいたいと思える才能である。

(2019.1.21) (レビュアー:大島栄二)


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Kitri, review, 大島栄二

Posted by musipl