太田裕美『雨だれ』【僕だって、古い曲を聴かないわけではありません】
日頃から、新しいアーチストを聴かないか、聴けよ、古い曲ばっかり聴いてんじゃねえぞみんなと主張しまくってる僕だって、古い曲を聴かないわけではありません。これとかね。そもそもリアルタイムの頃には太田裕美イチオシというわけではなかったし、この曲の良さもよくわかってなかったし。でも時間が経って時代が変わってみれば、当時イイなと思ってた音楽もどんどん無惨に廃れて、今聴き返してみるとなぜこんな音楽を繰り返し聴いていたんだろうと恥ずかしくなるほど。いやあ、それが時代というものなのでしょう。そう考えるとこの曲の松本隆+筒美京平という人たちの才能というか、時代を超えた作品を作れる能力のすごさに打ちのめされるよう。もちろん太田裕美さん本人もキュートでコケティッシュで、こういう当時19歳の可愛さを当時9歳の小学校低学年が理解できるはずもなく。まあそんなことはどうでもいいでしょう。もしも太田裕美が今の時代に生まれ育って、こういう世界にスカウトされていたとしたら、やっぱりもっと速めの曲をダンス付きで踊りながら歌わされていたのだろうかと想像すると、ああこの人はあの時代に生まれて正解だったなとか、今の時代にこういうシンガーは登場し得ないのかなとか妄想します。いやまあ踊ったって別に構わないんですけどね。今の人は今の人として今の時代に合ったやり方で頑張って天下取っていただければいいのだと思います。グラッチェ!
(2019.1.19) (レビュアー:大島栄二)