GONTITI『Tree Rings』【40周年! 彼らと同じだけリスナーの僕らも歳を重ねているのだ、気がつきにくいだけで】
ゴンチチ40周年。20周年はもはや当たり前、30周年ともなるとベテランだなあと思うけれども、40周年となってくるとなかなか見ない。だって20歳で結成しても60歳になるわけで。たまに何十周年といって突発的にライブしたりするバンドはあるけれども、おいおいずいぶん前に解散とか活動中止してただろ、30周年でも実質活動12年だろみたいなバンドも多く、結成以来ずっと解散せずに活動を続けての40周年はやっぱりスゴいの一言だ。驚きながらこのゴンチチの動画を見ると、老けたなあという印象がまず出てくる。いや、老けたというべきなのか、それとも枯れたというべきなのか。表現者に枯れたは失礼だろと思いつつも、老けただって相当失礼だし。年輪を重ねたというのが礼を失しないと理解しつつも、彼らのデビュー当時に面白いバンド出てきたなあと思ったフレッシュな印象があるからこそ、失礼な言葉が脳裏に浮かぶ。例えば坂本龍一など今でこそロマンスグレイのカッコイイおじさんとカッコいいおじいさんの中間みたいなテイストなのだが、YMOのメンバーとして登場してきた頃はモードの数百歩先を行くようなキレッキレのオニーさんだったわけで、長く活動するということはそういうことだよなあと改めて感じ入る。スポットが当たるアーチストが年輪を重ねているということは、すなわち自分もまた同じだけの年月を重ねているということ。自分の姿など客観的にじっくり眺めることなどほとんど無いが、彼らと同じように自分もまた老いているのだ、枯れているのだ。元がたいしたことない分だけこちら側の枯れ方は途方もなく残酷なのかもしれないけれど。ゴンチチの音楽は昔と変わらずゆっくりとしててなおかつ優しい。実際にはきわめて残念で残酷な自分の姿を振り返るには、過激なロックよりも彼らのように優しい音楽の方がホッとするなあ。
(2019.1.5) (レビュアー:大島栄二)