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Arakezuri『夏暮れ』【次のステージに進んでいく。その手前の、ほんのひとときだけ】

夏が終わる歌。Arakezuriという滋賀県の若手バンドが渾身の演奏を見せる。突っ走るという言葉がピッタリのパフォーマンスで、それなのに全体に気怠いテイストがあるのはこの曲が夏の終わりを想わせるからなのだろう。夏が暑いというのは生活していると本当に厄介なのだが、言い換えればその熱は生命のエネルギーそのもので、だから人は外に外に向かい、燃えるように活動をするのだろう。夏が暮れていくという表現は上手だなあと感心するのだが、日が暮れるように夏が暮れていく。ちょっと前までは明るかったのに気がつくと空は紅くなっていて、そのことを意識したかと思うと一気に太陽が沈んで暗くなる。夏の終わりもちょうどそんな感じかもしれない。MVでは京都鴨川で浴衣を着た女の子が、カメラを向く時には笑顔を見せるのに横顔では物憂げというか正気に戻ったような表情をする。その表情が夏という季節が終わっていく象徴のように思えて仕方ない。突っ走っていても季節の変化とともに成長を促される。成長しないわけにはいかなくて切ない。誰もが笑顔の奥に真顔を持っていて、次のステージに進んでいく。その手前の、ほんのひとときだけまだ甘い自分たちでいさせてもらえないかと、彼らの演奏がそう願っているかの用に思えてならない。

(2018.10.12) (レビュアー:大島栄二)


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Arakezuri, review, 大島栄二

Posted by musipl