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Jason Mraz『Unlonely』【どことなく、ゆるやかに愛の周縁を爪先歩きしながら、あくまでポップ・ソングとして】

てきぱき歩くのに疲れる訳ではなく、歩くときは、しっかりと気楽な歩く場所と呼吸数を選んで、時には自転車に乗るようになった。電動のではなく、段速の車の上に積めるスポーティーなもの。移動のための、というより今日の空、緑の気配を感じるべく早朝に3キロほど走る。そのときなりにプレイリストを作って、景色と馴染ませて、雨が多い時期は、軽やかなディスコ・ポップやソウル、ジャズが合う、下世話すぎないほどで。ジョン・メイヤーの「New Light」など今のヒット曲からカーティス・メイフィールド、アル・グリーンなどからザ・スタイル・カウンシルのセカンド、更にはこの「UnLonely」。

思惟を足せば、自転車を漕いでいると、思考的に哲学性は高まりながら、関係性には濃密な何かを音楽を通じて、言語を越え訴求してきているのかもしれない。移動の中で不意に、音楽の意味は政治的な加速度を押してくれるような上り坂もあるゆえに。

Jason Mrazは、デビュー時からブレイクしたアーティストの一人だが、紆余曲折を経て、今現在、こういう音楽をして緩やかな活動をしているのが嬉しい。いつかの彼がスケートボードで跳ねて、ストリートを歩いていたときのMVをおぼえていたとしても、今はこんな普遍な命題に降りながら、どことなく、ゆるやかに愛の周縁を爪先歩きしながら、あくまでポップ・ソングとして呈示している手腕はいい。リリックもね。

(2018.6.25) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))


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review, 松浦達

Posted by musipl