BEACH HOUSE『DIVE』【ベッドから抜け出さず、無為に時間を過ごす…そんな感覚の心地良さ】
こういうものをMVと呼んでいいのかどうかは疑問だが、新譜発売も控えたBeach Houseの新曲である。なんだか視力回復の動画みたいだ。いや、むしろ凝視したら絶対目が疲れてしまうだろうけれど(自己責任でよろしく)。それはともかく、曲の内容、だ。ゆったりとした心地よい雰囲気の前半から、ギターのリフがぐりぐりと繰り返される中盤への展開がとにかくすばらしい。最高に気持ちいい。「気怠さ」自体はポジティブな感覚ではないかもしれないが、たとえば朝、ベッドで目覚める。窓にかかったカーテン越しに差しこむ、やわらかい光の小さな陽だまりの温かさをお腹の辺りに感じる。そのまま気怠さに身を任せ、ベッドから抜け出さず、無為に時間を過ごす……こういうシチュエーションならば、それは心地よさと同義と言えるのではないか。この曲は(というか彼らの曲の多くは)そんな感覚を味わわせてくれる。気怠さと共に、光の束の中に思わず「DIVE」したくなるような曲。
(2018.5.2) (レビュアー:夜鍋太郎)