灰色ロジック『モーニング』【彼女のことを「趣味とバイト」と同様に大切って、大丈夫か若者よ】
シンプルな曲だ。とてもシンプルで、単純なことを歌う。朝からずっと君のことを考えていると。その君が「趣味とバイトとあんた」で同様に大切だと。生々しいな。そこで「君が一番なにより大切だ」と歌い切るべきだとは思うが、嘘でそう歌ったところで意味は無くて。じゃあ趣味とバイトと同等の大切さと歌われた彼女はいったいどう感じれば良いのだろうか。夢と同等に大切ならまだしも、バイトと同等なのだ。おいおい、その本音はどうなんだと正直思う。でも、これがリアルなのかもしれない。バイトを一生続ける人は多分いない。アルバイトだ。バイトだよ。掛け持ちする人もたくさんいるよ。それと、彼女が同等だなんて…。でもそんな長いスパンのことを考える若者ばかりじゃないし、むしろそういう若者が大半だろうし、というか、そんなだから若者なのであって、そのことを誰が責められるだろうか。彼女は責めていいよな。彼女なら、バイトと同等と言われたら責めた方が良い。しかしバイトと同等だといわない男子を探すのも結構大変なのかもしれないし、アホやなと思いながら見逃して泳がせておくというのも、案外賢い生き方なのかもしれない。若者じゃなくても、オッサンになったって男はたいてい一生アホだからな。そんなアホな話を熱唱する、この歌は名曲だと思う。「今朝から君のことを考えてたらおかしくなった」というフレーズで終わるのだが、考えてなくても最初からおかしいんだよ。そんなおかしなリアルを正面から歌っている。そのことを意識していようがいまいが、それを歌詞にしてメロディをつけて歌っている、彼らはとてもイイなと思っちゃうのだ。
(2018.3.13) (レビュアー:大島栄二)