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WITHERCRACK『群青』【名もなき鉄塔に見る、生活に密着したその佇まいの美しさ】

群青っていうのはただの色の名前ではあるのだけれど、こうして熱唱する姿を見るにつけ、ただの色ではないよなあと思わずにいられない。群青、群れる青。そう、若さが集積することによって生まれる熱のようだ。新潟を拠点に活動するバンドWITHERCRACKのこのMVにはそんな青春のエッセンスが詰まっている。イケてるバンドが若いなりに得た知識や世界観を上から目線で歌っているのを見ると、いやいや君たちもまだ何も知らないじゃないかとオッサンの悪いクセで思ってしまう。だが、やはりそれは小学1年生に先輩風を吹かせる小学3年生のようなもので、そこで上からの視点を持ってどうするんだとしか思えない。そうではなくて、どんな年齢であっても自分の不完全さ、至らなさを自覚して息を詰まらせようとする様は、見ていて心を打つ。MVの冒頭に出てくる名も無き鉄塔を、歌と歌の間でボーカルが見上げる。スカイツリーを見上げるMVは何度も見たような気がするが、この名もなき鉄塔がそびえ立っている、生活に密着したその佇まいの美しいこと。名も無き人の名も無き日常のリアルのようで胸を打つ。まだ青い力が、集まることで力となっていくような、それでも自分たちはまだ惑い悩んでいて、それでも前に進んでいくんだという意志のようなものを感じられ、同じ目線であるが故の説得力に感服する。

(2018.3.8) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl