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め組『ぼくらの匙加減』【満を持して投げ込むストレートのような、破壊力満点のピュアラブソング】

とってもシンプルでキュートなサウンドだ。め組のこれまでの、そしてボーカル菅原がかつてやってたバンド「さよなら、また今度ね」の楽曲の多くにどこかひねりや狙いを感じていたのだけれども、この曲のひねりの無さ、狙いの無さ。ただただ誰もいない河原で演奏しまくってる姿と、楽曲の中に込められたピュアさ。彼らの曲はそもそもピュアなラブソングが多いのだけれども、それなのにちょっとひねって狙って、まるで鎧を着ているような、苦い薬に糖衣を施したような、いや逆だな、甘いキャンディーに苦い衣を施したような印象があって、だからスーッと心に入ってこない。もちろんバカ正直にピュアなままでいたのでは直球しか知らないピッチャーのようなもので試合にならない。なのでそういう変化球的なひねりはどんな表現にも必要なのだろう。だがその変化球が相手をきりきり舞いさせられるのはストレートに威力があるからであって、ストレートでは三振が取れないから変化球で勝負をというのはたいてい三流のピッチャーでしかない。め組のこの曲では、満を持して直球を投げるぞという意志が感じられるし、投げられた直球の威力はかなりすごいぞと驚かされる。こんなにピュアなラブソングなのにライブで演奏したらきっとものすごい盛上がりを見せるだろうなと思えるのも素晴らしい。今でも既に注目を浴びている彼らだが、今後更に飛躍していくのか、そうではないのか。飛躍していくのだとしたら、きっとこの曲がターニングポイントになるのではないかという気さえする。

(2018.2.9) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl