あいくれ『グッドバイ』【このMVの制作意図がどこにあるのか考えながら繰り返し見た】
この警察コント、いや、寸劇、いや、コスプレ、呼び方は何でもいいけどこれ必要だったんだろうか。パトカーや救急車出てくるけどこれ借りたり作ったりするの大変だろうし、その労力をした分だけの効果ってあったんだろうか。でもこうして映像になっているのだからその労力はかけられているのであって、いやあ、効率とかとは別の次元で動いているクリエイト現場ってすごいな。またこの演奏シーンでは強く雨が降る中で楽器弾いてて、楽器痛むぞ錆びるぞ水吸ってネック曲がるんじゃないのかとかもうそういう心配が何より先に立つ。でも雨が降っている中でドラムを叩いて水が跳ねているのは見ていてフォトジェニックだな。労力を惜しまないMVの現場だから、本当は晴れてるところで撮りたいんだけれど雨降ったから仕方ないよねやっちゃおう、ということではなかったんだろう、多分。雨のシーンを撮りたい、雨を美しく見せるために暗い時間帯の設定で照明はバッチリやってね。なんなら水撒いて雨降らしちゃおうか。オープンセットを借りて雨シーンを撮ろう、とまあ妄想なんだけど、きっとそのくらいの前向きポジティブクリエイティビティ魂で、こういうシーンを撮ろうとしたんだろう。うん、その効果は、どうなんだろうか。よくわからないけれど、この「グッドバイ」という曲の世界観とマッチした映像になったんだろうか。見た人が誰かに口コミする時に「あの警察のMV」と言うのか、それとも「雨の中で演奏してるMV」と言うのか、それもよくわからないけど、一応関テレの音楽番組のエンディングテーマになってる曲らしいから、インディーズの行き当たりばったり制作MVではないことは間違いないと思うし、そういうことを色々考えながら、MVを見続けた。ボーカルの少々ドスの利いたような迫力ある声がとても印象的ですな。節回しというか、こぶしもちょっと回ってて、今風なバンドやシンガーの中でも一際目立つボーカルなのかも、という気もする。
(2017.12.28) (レビュアー:大島栄二)