chelovek.『tiny ritual』【グレイトなバンドへの成長過程にある、ヒネクレつつも心地良いバンド】
バンドにとってこだわりがあるというのは良いことでしかなくて、だってこだわりの無いバンドの音楽なんて聴きたくないでしょうそうでしょう。でも程度問題というのもあるわけで、こだわりがヒネクレになって、ヒネクレがヒネクレそのものに価値を見出して、作る音楽も「ヒネクレているかどうか」だけが唯一の基準になってしまっているような、アンダーグラウンドなサウンドは世の中に多いです。そういう音楽は結局「変わっているかどうか」ということだけを見ていて、リスナーの喜びなどはどうでもいいみたいなことになってしまっているので、結局はこだわりがない音楽とあまり変わらない、聴く価値の無い音楽になっているのです。
このchelovek.というバンドも、HPを見る限り結構ヒネクレているんじゃないかなあという印象があるわけですが、しかしこの曲を聴いてみる限り、楽しい(楽しいの意味は様々です)し、繰り返して聴いてもまったく飽きのこない、端的に言えば名曲です。こういう名曲は狙って書けるのかというと難しくて、逆にいえば偶然生まれちゃうということだってあるのです。だからこのバンドが本当にヒネクレだけなバンドなのか、それともリスナーの喜びを願って名曲を生む資質も意志も持っているバンドなのかはこの1曲で結論づけるのは尚早でしょうけども、可能性は、後者の可能性は十分にあるんじゃないかなあと、直感でそう思います。あとは、ある程度の活動で辞めちゃったりしないかどうかですね。すべての表現は、ガムシャラに続けていかないと結果なんて出ませんので、まずは続けてください。その後に名曲をいくつも連発して、グレイトなバンドになってもらいたいと願います。
(2017.12.19) (レビュアー:大島栄二)