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ゆいにしお『タッチミー』【見ていて微笑ましくなる、出発点に立つ人の懸命さと初々しさ】

英語の発音がイイのかそれとも単に舌足らずなのか、それはよくわからないんだけれども結果的にとても耳に心地良い。曲としては実にシンプルで、ただ「タッチミー」を繰り返すこの曲が単調に聴こえたり飽きたりしないのは、言葉とリズムの響きとボーカルの存在感がちょうど良くて耳に馴染むからだろう。70年代から80年代のポップにもこういうのあったよなと思うけれどもそれが何なのかは思い出せない。その頃の音楽をあからさまに狙っているようなバンドも多い昨今だけれども、このゆいにしおという人はそんな狙いなどほとんど持たずに、自分の心地良さと勘で音楽を作っているのではないかなあと思う。というか、何かを狙うような余裕もあまりなさそうな印象がある。他のライブ動画などをみるとギターを弾き語っていて、コードを変えるたびに弦を押さえる指を見て確認してたりして、まあそれは弾き込みが不足しているということでもあるんだろうけれども、そういう「まだまだこれから」感でさえ、この人はプラスに変えているようなほのぼのさがある。このMVも初めてのものらしく、いっぱいいっぱい感もありつつ、しかしそれさえも見ていて微笑ましくなるような懸命さがうかがえる。もちろん長く続けていく上でこのままでイイということではないだろうが、出発点に立つ人の懸命さと初々しさも含めて、鑑賞するに値する現在ということではないだろうか。単にこの曲だけを見て、Suicaなどの鉄道系ICカードのCMに使えるクオリティは十分に備えている。今後に期待したいシンガーのひとりだ。

(2017.12.14) (レビュアー:大島栄二)


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review, ゆいにしお, 大島栄二

Posted by musipl