恋は魔物『あなたには関係ない』
【形容しがたい強い意思のささやき声】
こういう声はなんというんだろうか。囁くような声、ちょっと違う。野太くはなくて、囁くように歌っているのだけれども、囁くという言葉が持っているやわらかさやか弱さが無い。強い意思が底流に潜んでいて、容易に他を寄せ付けようとしない。こういうのを女性的というとそれもまた違っていて、だから、聴いていて実体の無い言葉がぐるぐると回っている。こういう歌を、声を聴くと、音楽を言葉で語るということの限界が見えるようでもどかしいが、その形容しがたい強い意思のささやき声が、あなたには関係ないと言いながら懸命に守ると懇願する。こういう言葉こそウソで、そしてこういう想いこそ真実のような気がしてくる。意図を探ろうとすればするほど騙されそうな、そんな歌だし、そんな声だ。
恋は魔物。なんともいえない普遍的で変な名前のユニットの、やっぱりこれは聴いてみるしかないよなあという試合放棄のようなレビューに至って申し訳ないけれども、じゃあ紹介しなきゃ良いじゃないかといわれそうなのだが、これを紹介しないという選択はありえないような、そんな気がしたのだった。聴いたあとのモヤモヤ感が、変なのだけれど、心地良くて。
(※2021.7.22.時点で動画が再生できなくなっていることを確認しました。レビュー文面のみ残しておきます。)
(2017.12.8) (レビュアー:大島栄二)