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午前3時と退屈『海を見ている』【表面上の個性から体内の骨のような真の個性へと脱皮】

どんよりとした曲調と歌いっぷりが特徴の午前3時と退屈。冒頭のベースとギター単音弾きで展開していく演奏が、シンプル故なのか曲調のどんより感を更に増していき、その後の演奏がよりロックバント的な音になっていくにもかかわらず、それ以上の破壊力を見せていてとても引き込まれる。考えてみればたくさん音が重ねられていったところでその根本にあるサウンドの方向性というものは変わることがなく、その最たる部分をあの単音弾きの演奏は象徴しているのかもしれない。2013年に結成されたこのバンド、テイストこそどんより感は一環しているものの、以前は音を重ねていくその重ね部分に四苦八苦していたような印象があって、言ってみればメイクで自分たちの芯のような物を作っていこうという感じだったのが、この曲ではそういった表層的なものをすべて削ぎ落とし、メイクどころか肉までも削ぎ落とした結果、骨のような真の自分たちが見えてきた、そんな感じさえする。脱皮と言うにはあまりの脱ぎ落としっぷりなのだが、こういう形で自分の真実に到達するというのはなかなかないことなので、この脱皮から先の更なる飛躍をワクワクしながら注目していきたい。

(2017.10.24) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl