印象派『球状』
【なるほど、これが彼女たちの新しい音楽性の開始を意味しているのかも】
これまでビートの効いたダンスミュージック(?)を凝ったMVとともに世に送り出してきていた(と僕は思っている)関西の女性2人ユニット印象派の、この新曲はいったい何なんだろうか。ニューアルバムの中から以前に公開されていたMV『檸檬』は京都の風景を背景にしてそれまでのダンスミュージックを披露していたのだが、同じアルバムに収録されているこの『球状』では一転してまったく違った雰囲気と曲調。シンプルなポップミュージックを軽やかに展開して、逆にこの曲から知った人は他の曲を聴いたらどう思うんだろうかと。その逆でダンスミュージックの印象派を聴きこんでからこの『球状』を聴いたら、その直球のような変化球に対してニヤリとするのでしょうけれども。ともかく、こういう基本(?)のポップミュージックをサラリと作ったり披露したりできるというのが、この人たちの基礎力のレベルの高さを証明しているのだろうし、その上で、普通の観点から見れば風変わりな音楽を作っても、決してブレたりすることのない実力に裏打ちされた作品が出来てくるのでしょう。レーベルのプロフィールでは「印象派第2章の始まり」と書いてあり、なるほどもしかするとこの曲こそ新しい音楽性の開始を意味しているのかもしれないのだな。
(2017.10.19) (レビュアー:大島栄二)