ルルルルズ『誰もしらない』【自然体に回帰した印象のある、3年ぶりの新曲】
ファーストからずいぶん待ったぞルルルルズのセカンド。そしてこのMVはずいぶんお洒落な雰囲気に満ちていて、ルルルルズってこんな感じだったっけという気がしないではないが、その予想外は期待外れとはまったく違って、むしろ嬉しい。まあ一般にポップという言葉が持つイメージのようなポップなバンドでは元々なかったんだけれどもだ。ポップなバンドが高尚を求めた結果誰も求めていないアートに陥ることはよくあるが、ルルルルズの場合はそうではなく、本来あるべきスタンスに戻るように到達した、ある意味回帰のような印象の方が強い。仏師が木を彫って仏像を造るのではなく、その木の中にもともといらっしゃった仏さまを掘り出すだけなのだと言うような、そんな感じの。musiplを始めた2013年に紹介したライブ映像ではやわらかなポップという印象で、それが2014年のアルバムではもっとアート寄りに傾いてて、そしてこのMVではそのアート的な分肩に力が入っていたような印象が綺麗に溶けるようにナチュラルで。音楽性は違うけれども、自然体なところが2013年のライブ動画に感じたものとかなり近い印象で嬉しい。もうすぐリリースのアルバムでは、7曲すべてが同じ曲調ということもありえないだろうから、他はどんな曲なんだろうと今から楽しみになってくる。
(2017.9.12) (レビュアー:大島栄二)