ソライロブランケット『日和』【シンプルな感情を載せた、最近珍しいくらいに素朴な曲】
シンプルなサウンドにシンプルな感情を載せた、最近珍しいくらいに素朴な曲。これがけっこう沁みる。仙台を拠点に活動中という彼ら。曲によってテイストも違うし完成度も違ったりするみたいなのだが、この曲のサラリとしつつも底から沸き出す力強さみたいなものは、彼らの芯のあたりにある信念のようなものが表出したんだろうと感じる。もちろんそれはほとんど95%くらいのバンドにも通じることで、程度の差こそあれ、複数の曲を作り出せばそれぞれの曲で完成度は違うし出来不出来も違う。バッターが毎打席でヒットを打てるわけじゃないのと同じで、さっき三振したからといって次ホームランを打つ可能性はゼロではない。好打者であればあるほどヒットの確率が上がるだけのこと。ソライロブランケットにとってこの曲はきっとヒットに属する部類で、この部類の曲をコンスタントに作ることができれば成功はすぐそこだと言っていい。もし、コンスタントに作れないのだとしたら(それは決して劣っているということではないよ)、たくさん作って、このレベルの曲数を確保すればいい。そんなことを、この曲を聴いていて感じた。どこかのプロダクションやプロデューサーに指示されて音楽をやっているのではない、いい意味でのインディーズバンドのまだ素の姿に触れたみたいで、素直に応援したくなってくる。
(2017.8.17) (レビュアー:大島栄二)