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shuto『off』【夜限定の、落ち着かない心を代弁してくれているような】

そろそろか、もうそろそろかとずっと思いながらも全然歌が始まらなくて。もう始まるか、ついに始まるかと思っても始まらなくて。で、始まったのは1分46秒。単なる歌モノとして売れたいのならもう完全に失格でしょというくらいの気の持たせ方。いやあ、YouTubeでもイントロの途中で飛ばした人も多かったんじゃなかろうか。でも、けっこう待って歌が始まって、ずっと聴いていて、思った。これは歌モノではないよ。歌は一応入っているけれども、イントロで同じようなフレーズが延々と繰り返していたように、歌だって同じようなフレーズがずっと繰り返されている。その繰り返しがなぜか心地良い。鼻にかかったというか、伸びの無い女性ボーカルはけっして聴いていて心地良い声だとは思わないのだが、トータルでみてとてもフィットしている。MVで映し出されている都会の夜のように、眠らないが起きてもいない、そんな時間の流れにも似た不思議な音世界がこの曲にはあるようだ。ある意味、アンビエントミュージックだと思う。強くない音の集成で疲れた肉体を鎮めてくれるタイプのアンビエントミュージックの、ロックサウンド版。こういう強い音が肉体を鎮めてくれるのかというと疑問も多いだろうが、聴いているとそう感じられて仕方ない。夜限定の、落ち着かない心を代弁してくれているような、そんな落ち着きがこの曲にはあるようだ。

(2017.7.20) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl