Laurel Halo『Jelly』【現在のエレクトロミュージックの最先端】
「宅録女子」というカテゴライズ自体の良し悪しは置いておくとして、もはやその呼称(によるイメージ)が枷になるくらい、彼女は自由で刺激的な作品を生み出した。音数過多という意味ではなくて、すさまじい情報量の音楽だし、時間をかけて計算され尽くした構成と芸術的ひらめきが絶妙のバランスで成り立っている。静かながらにグッとくるビート、立体的に感じられるこまやかでどこか乱れた電子音、印象的なボーカル(とエフェクトされたコーラス)。これらの重なりによって構築された景色はあまりにもうつくしい。これは現在のエレクトロミュージックの最先、最高峰、と言い切ってもいいのではないだろうか。圧倒され、恍惚としながらも、ひりひりとした手触りを残す曲だ。新しいアルバムにおいても、エクスペリメンタルテクノ(というジャンルがあるらしい)のその先にある、彼女だけが切り開いた独自の世界像が見える。そちらも是非チェックしてみてほしい。
(2017.7.19) (レビュアー:夜鍋太郎)