よよよ_ゐ『晴れた日に』【大切な人との出会いの瞬間を、僕はやっぱり思い出すよ】
力強い歌だ。人と人との出会い。その積み重ね、繰り返しによって人生は築かれていく。一期一会のようなものもあれば、人生を通した結び付きのようなものもあって、そのどれもが人生を築く貴重なものではあるけれども、その中でもやはり最重要な出会いというものはある。それは本当に奇跡のようなものであり、そのことがシンプルに歌われているこの曲が僕は好きだ。「トランクケースはからっぽだけどさ 僕らの夢は果てしない」という歌詞が好きだ。それは何も持っていない自分の言い訳に過ぎないのかもしれないけれども、じゃあ何を詰めていれば十分なのかというと、そんな答えは誰も持っていないだろう。生きていく原動力は、勇気だ。夢だ。トランクケースに詰まっているものは、消費される燃料に過ぎない。詰まっている燃料が尽きればそこで終わり。この先には燃料を補給できるところがあるに違いないという、根拠無き自信が、そしてもしそんな場所などなかったとしても歩いて先に進めば良いじゃないかという無謀な勇気が、果てしない未来へ歩を進める唯一のツールなのだ。人生を生きるために何億円あれば十分なのかという計算を幾らして、その貯蓄が叶ったとしても、天変地異や経済変動、戦争などが起きたら予定は変わる。そういう突然の不幸に見舞われたとしても、心を開ける友人がいれば何とかなる。それは今でも信じている希望だ。そんなことも、気づけば想い出になっているじゃないかと歌うよよよ_ゐ。よよよ_ゐというオッサンのようなシンガーの、希望を届ける絶叫が好きだ。大切な人との出会いの瞬間を、僕はやっぱり思い出すよ。晴れた日であろうとなかろうと、僕はやっぱり思い出すよ。
(2017.6.19) (レビュアー:大島栄二)