松崎しげる×布施明『君は薔薇より美しい』【両者の張り合いを聴いていると胸に迫りながら、不思議と感動する】
「いい声」と「声量がある」っていうのは当たり前だが違う。歌手は声の表情や肌理細やかさで何かを訴える。勿論、多様なジャンルや歌う内容によって分かれるものの、今、日本において声量がある歌手といえば、誰なのだろうと思うと、記号としても松崎し ...
スピッツ『ヘビーメロウ』【どこかはどこかじゃなくてもいい。どこかがあなたにとって平穏であるように】
Syrup16g「タクシードライバーブラインドネス」って曲の歌詞に「ニュースは毎朝見る ところで思うんだが 占いのコーナーって あれ何?」ってはじまりがあって同意だなと思いながら、「~座の方、ごめんなさい。今日のラッキーアイテムは赤い ...
Mondo Grosso『ラビリンス』
【ストレンジャーのように彼女は「誰か」の視線を待っている】
あえて具体名は出さないものの、これからの活躍や展開なども楽しみだったDJやサウンドメイカーの逝去が近年は相次いでいて、しかも、ある程度の天寿だったらいいものの、それなりの若さで声をうしなってしまう。ハードな環境で新たな何かを紡ぎあげて ...
CORNELIUS『あなたがいるなら』
【小山田圭吾が「うた」うだけで、ここまで胸の奥に響く何かがあるのは何なのだろう】
Lethe(レーテー)という言葉をあちこちで見ることがあり、日本語では馴染みが薄いかもしれないが、ギリシア神話では黄泉の国の川を意味し、それを飲んだ者は忘却に向かう。ハイデガーもこの概念枠を重要視し、また各作家たちが様ざまな詩や小説で ...
Ghost like girlfriend『fallin’』【どこかロマンティックな彼岸の視角の先で】
低血圧なムードなものの、クールなメロウネスがスイングし、程よい残響に、時おりのブレイク、優しく刻まれるビートがすっと馴染む服のようで、また、いいヘッドホンで聴いていると、眩い音の粒や空間美の奥深さを感じることができて、こういった新世代 ...
evening cinema『わがまま』
【2017年のセンスでロマンティシズムの機微を】
スピッツの草野正宗は自分たちの曲は基本、人間の摂理たるエロスとタナトスしか歌っていないと過去から徹底して言う。音楽と政治性、または例示するにアドルノや武満徹を巡る楽理、最近ではセラピーやトリートメントの領域まで無音ではなくなってきてい ...
The Lost Club『The Hole』【せわしなくディスプレイを観るのを辞めてみれば】
端整すぎた各都市のいつかの再整備計画の近くには必ず排除型アートらしき何かがあり、少しの休憩もできないか、工事途中のままで投げ出され、終わって老朽化していたりする。自然は「自然」らしく、あったはずなのが必要部分だけを刈り取って周りを風光 ...
植田真梨恵『彼に守ってほしい10のこと』
翻るに、椎名林檎、YUIやmiwa、更には、いきものがかりを含んでもいいかもしれない、フィメール・ボーカルとロック、ポップスの相性の良さは異性、もしくは対象性に向けてストレートにだけではなく、広汎に拓かれた「言語」でその歌が伝えられて ...