Mr.Children『himawari』【言いきってしまう前に、時計をとめて、未来を語り合ってみるために】
宗教的・政治的・国際学な意味を抜きに、フラットに今年のクリスマス・フェアは低温にも盛り上がっている気がする。
ましてや、クリスマス・ソングはというと、バックナンバーなどの新しいものは個別にスタンダードに、普遍的なものはどこ ...
My Hair is Bad『戦争を知らない大人たち』【秩序や共同体が壊れるときに人は何に向かうか】
“戦争を知っている大人たち”の一人として、秩序や共同体が壊れるときに人は何に向かうか分かるだろうか。支え合いや互助もあれども、結局は痛覚への「麻痺」だと感じる。現実感の麻痺。目の前に起きていることに思想が追いつかない。ギターノイズに塗 ...
Ancient Youth Club『Manhattan』【これからどういうキャリアを歩んでゆくのか、楽しみになる】
2016年のEP『For,Emma』からの「Stay」も話題になった佳曲だったが、あくまで個人的にはこの『Manhattan』の色気とリズム感に心を揺らされる。まだまだこれからのバンドゆえに曲によって振れ幅や未知数なところはあれども、 ...
Stefano Guzzetti.『New Day (Tokyo)』【幻想の日本は過ぎ去ったままで、静謐な斜陽の中に眠りゆく過程にあるのか】
これだけ日本を訪れるための敷居が低くなった今では有名な観光都市のみならず、辺鄙な場にも多様な人や語が溢れていて妙に活気がある。同時に都市部でも少し逸れた場での静寂も然り。ただ、日々刻刻、この日本の片隅で当たり前に生きている人たちの活気 ...
JOHN LENNON『Happy Xmas(War Is Over)』【今ではクリスマス・シーズンと平和を願う歌として】
近年は終末期医療に関して多様な認知が高まってきているゆえに、精神科医のエリザベス・キューブラ=ロスの受容プロセスがガイドライン的に参照、かえりみられることがある。あくまで誰しもではないとことわりを入れておきつつ、自身の生命の終わり、ま ...
民謡クルセイダーズ『会津磐梯山』【今は今なりの伝統への距離感と遊び方】
縁があって、マレーシアの方々と会う機会が多く、彼らは挨拶代わりに「Sudah Makan?」と言い、要は「ご飯食べたの?」ということで、食べてないなら一緒に行こうよ、とか、食べていてもお茶くらいでも、となる。多民族国家を繋ぐ言葉はちゃ ...
キリンジ『エイリアンズ』【ヨソ者たちのための中心を回流するアンセムとして】
まだ、2017年も終わっていないままに、何かしらあまたの報道の偏向に対して、あたかもエイリアンズな気持ちになることが増えすぎておかしくなりそうで、少しばかり彼らについての自身が知っていることを書こうと思う。私事はいいにしても、世事はこ ...
Fitness Forever『Canadian Ranger』【ファニーなセンスと軽快なポップスに感覚の歩幅を変えてみるのも或る種の】
或る種のエキゾチズムは、状況次第で書割の部屋に格納されることが多い。小さい竹林と庭園を作った部屋に南国のリゾート・ホテルの昂揚があったり、遠い極寒の地で頑なに中国茶器や茶葉にこだわり続けていたり、風水である程度のその日のリズムを決める ...
スカート『視界良好』【発見されない限り埋もれたままのニュアンスが多く、だからこそ遠回りばかりな人たちへと】
日本語詩の持つ寂寥感や、侘び寂びがなかなか輸出されないように、切なさも同じようで、というのは故郷(に近いどこか)に対しての視座や思慮がこの数年であちこちで変わったと証左なのだろうか。
小さな町の診療所はごった返し、都市の人 ...
Charlotte Gainsbourg『Rest』【悲しみに見据えた上で休みつつ進めるかどうか】
二世を巡る問題はシビアになる。特に、偉大過ぎる先代がいると余計に。同じ道に行かず、成功しているケースもあるが、芸能や芸術方面におのずと向かうのは環境要因だけではなく、まずは最初に触れる大人が親である可能性が高いというのもあるのかもしれ ...