cinema staff『first song(at the terminal)』【無比なグルーヴに刻まれる滑走と、最終バスという言葉】
かなりの、大きな地震と関連災厄が関西方面でも起きるようになり、その際に、揺れそのものより、交通網、食物への近路、ガス、電気への自身の地域のチェックが真っ先になりながら、それでも、余震の数々に個々の優しさもかどわかされもいる。
Jason Mraz『Unlonely』【どことなく、ゆるやかに愛の周縁を爪先歩きしながら、あくまでポップ・ソングとして】
てきぱき歩くのに疲れる訳ではなく、歩くときは、しっかりと気楽な歩く場所と呼吸数を選んで、時には自転車に乗るようになった。電動のではなく、段速の車の上に積めるスポーティーなもの。移動のための、というより今日の空、緑の気配を感じるべく早朝 ...
SPANK HAPPY『夏の天才』【根を張らず身軽に、適度ないい加減で軽やかに颯爽と、飄々と】
気付けば、日本語を忘れてゆく。もっと精緻に脈絡を足すと、日本語の雑さを忘れて、行間を愛でるようになった。行間に侘び寂びや無常観や、アイドリングがあるはずなのに、そこさえも埋め立ててゆく直截的な政治性を帯びた言い方に中る。だから、英語や ...
odol『時間と距離と僕らの旅』【人気のない場所での静かな生活を望むがそれはどこにあるの】
様ざまな天変地異や艱難辛苦が続く2010年代では、もう地平線の向こうの庶事を想像するのが難しくなったと思う。想像するというよりあえての、知らない振りをした方が楽で、諸問題は属性のみならず、個々内に放り出されて、レディオヘッドの「No ...
KAN『長ぐつ』【ここまでストレートにポップに“愛してるを歌える”アーティストはなかなかいない】
以前に、このmusipl編集長の大島氏がKANについて取り上げていた。そのときは『50年後も』だったが、彼は『愛は勝つ』以前と以降で変わったのではなく、以降で自身の音楽への向き合い方が変わり、その後もずっと仏留学や模索を経て来ている珍 ...
Yogee New Waves『Bluemin’ Days』
【これまでもそうだが、今のヨギーが真っ当に格好良い】
いかがわしさと、背徳に纏わる諸々は健全たる機制が罷り通っているにこそ反動的に意味を強くする。病むのはいつもそこだ。だから、勝手に逃げればいいと思うのにそうはいかないような主題に並ぶのは都市生活、貧富、家族という制度、性などの普遍のテー ...
ニカホヨシオ『亡霊たちの楽園』【ニカホヨシオという人は漂然ともしたたかな知性の持ち主だ】
雑踏を歩いていてあのスマホにイヤホンをして(だれかと)話しているときの声のトーンや内容に吃驚することがあったり、ホテルバイキングで自分以外が異国の人たちで全く聞き取れない言語の渦で大きな笑い声が響いていると何だか座りが悪かったり、エレ ...
米津玄師『LEMON』
【米津玄師は何でこうなってしまったのだろう】
米津玄師は何でこうなってしまったのだろう。
ハチにも戻れず、“米津玄師そのもの”を模造化しないと許されないという社会的要請がこうさせたというならば、日本でゴスペルが宗教的な意味以外でもシビアという文脈で、歌謡曲が人心をふる ...
ART-SCHOOL『OK&GO』
【彼らが居ることで安心する同業のアーティスト、ロック・ファンは多い】
幼い頃に怯えていた 大人になって家庭を持ち
遊園地とか連れていけたら 笑えるだろ
たったそれだけなんだ
生き延びていると現実は時おり冷酷過ぎて、またやるせなくてどうにも受け止められないことが出て ...
くるり『温泉』
【今でこそ、こういうのどかさで世俗の垢を落とせるように】
サウナやシャワー、湯治の世界地図がなかなか改変がおこなれることはないながら、温泉、お風呂のカルチャーの日本の奥深さはいいなと歳を重ねるたびに思う。様ざまな疲弊や草臥れを溶かすにはやはりお風呂に限る。昨年に東海地方の常滑という場で泊まっ ...