犬塚ヒカリ『PATAPURIKE』
【がらんとした空間にひとり立たされているよう】
淡々と展開していく曲が、進めば進むほど澄んだダークネスに包まれていく。得体の知れない恐怖に包囲される感覚に陥っていく。パタプリケという「古いおまじない」に願いを叶えてと託すのだが、そのパタプリケとは一体なんなのか。ググってみたけど出て ...
MAGIC OF LiFE『記念日』
【きっちりと主張も存在感もある。それでいて、強すぎない】
2年半ほど前にファルセットの洪水と評したMAGIC OF LiFE。久しぶりに聴いた彼らの曲、彼らの歌はそれとは少し様子が違っていた。ファルセットが消えた訳じゃなく、今も歌の特徴の中心にファルセットがあるのだけれど、それが特別特徴的な ...
Penthouse『26時10分』
【様々な試行錯誤を繰り返した結果、ようやくここまで辿り着いたシティソウル】
東京大学発6人組「シティソウル」バンド、なのだそうだ。東大でこの音楽センスって天は二物を与えたな。と普通に思う。じゃあ本当にセンスがあって軽々とこの曲のクオリティを生み出したのかというとそうじゃないのではないか。過去のMVをふたつほど ...
日食なつこ『四十路』
【ちゃんと怖いかい?ちゃんと不安かい?】
日食さんの新作MVが公開されてて、ずいぶん久しぶりだなと思ってたら、そのひとつ前のを見落としてた。それがこの『四十路』。長かった髪をバッサリと切って、印象がまったく違ってた。でも、やっぱり日食なつこはまったく変わってない。というか、よ ...
YONA YONA WEEKENDERS『R.M.T.T』
【懐かしの千駄ヶ谷ホープ軒のジャスミン茶】
千駄ヶ谷のホープ軒だ。道路をはさんだ向かい側から固定カメラで撮影した映像に曲が乗っかってる。妙に懐かしい。そんなにここに通った訳ではないけど、それでも年に2回くらいは食ってたんじゃないだろうか。このビルごと黄色のホープ軒。背脂チャッチ ...
MELTME『Virus』
【おどろおどろしい歌詞をすべて包み隠してしまう圧倒的な爽やかサウンド】
鼻から血を流している男が歌っている映像がずっと映されている。その男が歌っていると思われる歌はクセが強くて、その歌声だけでは何と歌っているのかがすぐにわからない。まるで本当に口や鼻の中を切っていてまともに歌えないのではないかと思うくらい ...
Shiki『選べない』【明確にしないことがアイデンティティのバンドなのだろうなあ】
熊本を拠点に活動するというドラムレスバンド、Shiki。ドラムレスといいつつもトラックにドラムの音はしっかりと入っている。それもそのはずで、彼らは基本DTMで創作活動をしていて、冒頭のバンドロゴにも「Desk TopMusic Dru ...
ベルマインツ『ハイライトシーン』
【シンプルながらも些細な工夫を積み重ねているスタイリッシュさ】
なんだろうこのスタイリッシュさ。スタイリッシュといっても最先端のテクノロジーを駆使したことで生み出されるドヤ感なんかではなくて、アナログな感じのスタイリッシュさ。80年代にようやくミュージックビデオがテレビの深夜帯で番組として放送され ...
松本佳奈『幕開け』【誰かに理解してもらえるとは思えないその表現が、巡り巡って価値となってここにある】
誰もが、最初は売れたいと思う。だから売れている誰かのスタイルを真似る。売れるということは多くの人に支持されるということで、だから、多くの人に共通する何かを代表するような表現をすることになっていくし、それは誰もが持っている表層の上澄みの ...
METAFIVE『環境と心理』
【曖昧に留めることで意味を受け取る側の裁量に任せているような表現】
METAFIVEの新曲がデジタルでリリース。4年ぶりのリリースだとか。4年も特に活動がなければ普通はもはや解散したのかと思わるだろうし、僕も実際そう思ってたし、彼ら自身もそう思われているという自覚があったのか、この新曲MVを公開する1 ...