遠藤理子『午前3時』【インスタ映えの対極にある、日々の現実と内面との闘いを歌う17歳】
仙台に拠点を置く17歳の遠藤理子の歌は、何故こんなにも刺々しいのか。歌詞の言葉ひとつひとつがネガティブで、ネガティブが重ねられた世界はなぜか清々しい。それはそこに嘘が無いからだ。誰もが日々の美しい画像を切り取ろうとスマホ片手に必至で、 ...
sui sui duck『circle』【音楽というスタイルを鎧として身に纏った、現代のアーチスト】
なんというスタイリッシュ。いや、これがスタイリッシュなのか。言葉の定義はともかくとして、本当に飄々とした音が、サウンドが、いややはり音が溢れるように流れていく。アーチストというのはかつてはテレビやラジオや雑誌の向こうにいた人たちのこと ...
WITHERCRACK『群青』【名もなき鉄塔に見る、生活に密着したその佇まいの美しさ】
群青っていうのはただの色の名前ではあるのだけれど、こうして熱唱する姿を見るにつけ、ただの色ではないよなあと思わずにいられない。群青、群れる青。そう、若さが集積することによって生まれる熱のようだ。新潟を拠点に活動するバンドWITHERC ...
永久らんど『旅立ちの歌』【変わること無い土臭さを忘れることなく持ち続け、未来へと】
大阪のバンド。土臭い。言い換えるなら汗臭い。それは決して批判の言葉でなどなく、このバンドがリアルだという証のようなものだ。校舎の後ろに山があり、田畑が広がる。風が吹けばきっと土ほこりが舞い上がる。日本全国にはあたりまえのようにこういう ...
カノエラナ『サンビョウカン』【現実を受け入れ無理難題の音楽業界をすり抜け泳ぐこと】
カノエラナ、musiplでは2年前にレビューを掲載していて、また取り上げたくなった。きっかけは、朝の子供番組『みいつけた!』で彼女の名前を見て。「カゲのオバケ」という歌の作詞作曲がカノエラナ。歌の中で女性の声は聴こえるものの、あれ、カ ...
清水翔太『Good Life』
【Good Lifeのゴールが社会的にサクセスではなく、自分自身でいろということ】
どこまでが本当の声で、どこからが偽の声なのだろうか。エフェクトがかなりかけられていると思われるボーカルが淡々と歌う。歌うというのが適切なのか、語っているというべきなのか。その人工的な声は、だからといってボーカロイドのものとは違うし。で ...
evening cinema『告白』【ポップネスクオリティを背景に、この一瞬キモイMVがブレイクスルーになるのか!】
イイ。イイぞ。月曜日からなんかスゴくアガる! 最初一瞬ゲッツの人かと思うようなやさ男っぽいおにーちゃんが全身で熱唱する。それがひとむかし前のiTuensのCMみたいな映像で展開するMV。聴いているうちにワクワクしてくる。ポップってこう ...
LILI LIMIT『LIB EP』
【自由のようで自由ではない、今の時代の今の社会の中で生きること】
若い頃にディスコというのが流行って。友人たちもそこによく足を運んでいたようだが僕は1度も行ったことはない。スクリーンでトラボルタが踊っているのを見ても心ときめいたことはない。アメリカに行ったときにホテルのロビーにまだあどけない現地の少 ...
ReN『Lights』【心の中でさまざまな葛藤をしていて、その一端のような何か】
昨年夏くらいから急激に名前が出てくるようになったシンガー、ReN。注目されるきっかけとなった楽曲でありアルバムタイトル曲の『LIFE SAVER』はギターのカッティングが鋭く刻まれていて、そのカッティングに合わせているのか歌に合わせた ...
TRIPLANE『サクラのキセツ』【春がもうすぐと感じさせてくれる、力強い歌】
偶然出会ったこの曲のYouTubeコメント欄に「TRIPLANEはもっと売れなきゃおかしい」と切実なファンの言葉があった。かつてワンピースのエンディングテーマに曲が起用されたというこのバンドは活動歴ももうすぐ16年と長い。だが僕は知ら ...