スターダスト☆レビュー『木蘭の涙』
【還暦過ぎてなお、脳血栓を患ってなお】
スタレビは間違いなく昭和から平成にかけての日本を代表するバンドだ。ファン層もどちらかというとおとなしい大人が多く、サザンやBOOWY、ミスチルといった「派手」なバンドとは立ち位置を異にするけれども、その実力はシーンの中での地味さとは裏 ...
the cibo『ウィークエンド』【週末なのに冒頭からありえないようなハイテンションの意味は】
めっちゃ熱い。曲に起承転結なんかなく、いきなりトップテンション。序破急でもなくて、急急急。こういう展開だと聴いていて疲れるのではないかと頭では考えるものの、そんなことがなくて普通に聴ける。普通に聴けるという言い方はちょっとおかしくて、 ...
アシタカラー『星明りのワルツ』【ささやかな歌の、ささやかな福音を】
生きていれば嫌なことも多かろう。そんなことを全部受け止めてやると、この歌は歌っている。歌ごときで全部受け止められるわけはなかろうとか、気にしないわけにはいかないんだよとか、ツッこもうと思えばいくらでもツッこめる。しかし、そうだろうか。 ...
スムージチークス『バースデー』【だが、そんな人こそ誕生日は祝うべきなのだ】
誕生日は毎年くるけど、何でそんなに祝うのか。そもそも祝うってなんなのか。ちょうどその日が仕事で忙しいとか、体調が悪いとか、ツキに見放されたどん底の真っ最中とか、そんなことでも容赦なく誕生日はやってくる。忙しいのに時間割きたくないよ、お ...
クアイフ『さよならライアー』【変わっていくことで、変わらない自分たちの何かを確認するような進化】
クアイフがどんどん変わっていく。そりゃそうだ、誰だって変わっていく。変わることは悪いことではない。その変化の中でどれだけの確固としたものを手放さずにいるのかを知るためには、むしろ変わっていかなければならない。自分を知るということが、変 ...
two days market『Strangeman’s world』【高排気量のエンジンで高速走行をする時のような、安定した声の伸びが心地良い】
沁みる歌。すべての音域で安定的にスーッと伸びる声。肺活量が十二分にあるのか、きちんとしたトレーニングを経ているのか。ささやくように泣くような声での歌も悪くないが、こういう力強い歌はやはりいい。軽のような排気量が小さなエンジンで高速を走 ...
テンピエン『夜、自転車と』【ジャラジャラした音の、コンパクトなロックの疾走感】
イントロからギターの音がザラザラ、いやジャラジャラしてて、歌が始まると歌声もジャラジャラしているような気がしてくるから不思議だ。音質が良いのと悪いのとどちらが良いのかといわれればそりゃあ良い方が良いに決まっているけど、じゃあ何が良い音 ...
ハローモンテスキュー『あなたと。』【ボカロなのか生歌なのか。その境界線で歌われる自由な表現】
強くないボーカルの歌。強くないという言い方は的確ではないかもしれないけれど、首に血管を浮立たせるようなシャウトとは明らかに違った、あえて弱いテイストを狙っているのではないかと思えるようなタイプの歌。こういうのを耳にすると、初音ミクなど ...
梶芽衣子『凛』【71にして凛とした姿勢で、かつてのファンだけじゃない世界戦略なのか!】
梶芽衣子、ニューアルバムをリリースしたらしい。梶芽衣子ですよ、梶芽衣子。いつの人ですか一体。調べたら71歳。これがどのくらいかというと、例えばアンルイスが2018年現在で61歳。ユーミンが64歳。都はるみが70歳。で梶芽衣子が71歳。 ...
スロロリス『hurdie gurdie.』【難しいジャンルのことは一旦忘れて、まあ聴きなさい】
美しい曲。彼らのHPには「ポストロック、シューゲイザー等を中心に」と書いてあって、それ自体は別に珍しいことではないのだけれど、そういう表現を見るたびに、そのジャンルは一体どういう音楽のことなのだと考えてしまう。一般的にはポストロックと ...