Mr.Children『SINGLES』【守られ続ける確固とした彼らのスタイル】
ミュージシャンがアーチストになるためには自分のスタイルを確立する必要があり、確立したスタイルを築いてしまったら、それを壊すことは難しくなる。期待するファンが存在することと、何よりそれが自分の拠り所になるからだ。
ミスチルの ...
YONA YONA WEEKENDERS『誰もいないsea』
【立ち位置も意味合いも時代とともに変わるシティポップ】
こういうサウンドをシティポップと呼んでいたのはもう既に時代の彼方に去っていったような気がする。彼らのサイトで自らシティポップバンドと書いているし、ジャンルとしてはシティポップというのは今も幅広い音楽シーンの中核に燦然と位置しているのだ ...
立ち耳スコティッシュフォールド『青い森』【潔さの中に期待する気持ちを託してみたくなる】
何ひとつ媚びたところがない真摯さを感じる。彼らが何か突出したものを持っているとは思わない。自分たちにない何か突出したものをなんとか獲得しようという焦りもなく、ただただ今の自分たちが持っているすべてで表現しようという潔さ。こういう潔さが ...
ベランダの路地『夜に』
【すみっこのすみっこみたいな名前のバンドの、ゴージャスな覚悟の歌】
これは、覚悟である。覚悟の歌である。人にはいろいろな苦しいこと、悲しいことがある。それを避ける術は無い。多分無い。きっと無い。老若男女を問わず、富める者も貧しい者も、みんな悩む。立場が違えば悩みの種類は変わるものの、すべての悩みから解 ...
ドアノブロック『プラスチック隕石』
【2010年代のアンダーグラウンドにシンパシー】
ポップで怪しい。こういうバンドを見ると音楽はますます細分化しているなあと実感する。作り込んだ世界観からはどこかの大人がアイドルグループも出尽くした感があるから別の手法で変化球を投げてみようなんて思惑でバンドマン志望の若者を寄せ集めて作 ...
SAPPY『Get Back』【違和感を覚えるほどの進化形と、継承されているこだわりと】
SAPPYの新曲MVを見て、あれ、SAPPYってこんなバンドだったっけという違和感を覚えつつも、引き込まれる。それで以前にレビューをした曲を聴き返す。たしかにポップさが全然違っている。だがその違いは表面上のもので、サウンド構成の深さや ...
ヒカシュー『プヨプヨ』
【2010年代後半にヒカシューを観て聴いて】
一昨日テジナというバンドのレビューでヒカシューの話をしたので、ヒカシューを久しぶりに。2010年代後半にヒカシューを観て聴いてもあの当時に当時の若者が感じた何かをリアルに感じられるわけがないと書いたのだが、改めて聴いてみたら今見てもブ ...
灰色ロジック『知らない街』【ほどよい脳内妄想に身を任せるのが心地良い】
今の自分を取り囲むすべてを捨てて人生をリセットしたい。そんな気持ちになることは誰にでもあるだろう。この曲は曲自体にドラマチックな盛上がりがあるわけでもなく、BGMで流れているだけだったら本当に聴き流してしまうかもしれない。何が歌われて ...
テジナ『You Are My Sunshine』【いろいろな時代を思い出してニヤニヤさせてもらえるデジャヴサウンド】
この既視感、デジャヴ。なんだろうこれ、なんだろうこれ。そんなことを感じる音楽に出会うことは多々ある。そう感じた時に「ああ、これはパクリだ」などと考えて距離を置く人は多かろう。だが、それでいいのか。それはちょっともったいないぞ、と思う。 ...
TETORA『ずるい人』
【ああ、TETORAはズルくてカッコいいなあ】
切り裂くようなハスキーな声。ハスキーというのかこれ? ハスキーとはちょっと違うのかもしれないけれど、各フレーズの語尾で裏返るような発声が限界に挑んでいるように聴こえるし、限界に挑んでいるような歌はやっぱり魅力的に聴こえる。ズルいよこれ ...