the coopeez『永遠に美しく』【生きているのに死んでいるような光景の連続となって】
ひとりの人間に出来ることなど限られている。好きなものをコレクションしようとひとつひとつ買いそろえて、コンプリートするのはひとつの喜びだが、コンプリートできるものなんてほんのごく僅かで、ほとんどのものは一度手を出したら際限が無くなる。無 ...
沢田研二『勝手にしやがれ』【全盛期のジュリーは本当にカッコよかったよなあ】
このところ何かと話題の沢田研二。彼の主張にいろいろと意見は各方面あろうが、若い頃の彼がめちゃカッコよかったのは事実で、その頃のファンが今もファンを続けて生涯追っかけをしているということは想像に難くない。沢田研二なんてもうおじいさんだろ ...
惑星のすみか『冬の日』【まだまだ粗削りの、だからこそ響く不器用な歌】
不器用だ。不器用な歌だ。淡々と繰り返されるフレーズが音楽としての完成度と想いを伝える乗り物としての完成度の狭間で揺れ動くようでいて、結果としてどちらにもなり得ず不器用な形を呈してしまっている。大人ならもっとこぎれいにまとめられるだろう ...
POLTA『失踪志願』
【他に類を見ない、希有なポップで明るい深刻さ】
こんなにポップに明るく深刻なことを歌わせたらPOLTAの右に出るものはいないと思います、ええ。なぜそんなことになるのか。深刻なことをポップに明るく歌うと普通は単なるコミックソングになってしまい、深刻な部分が深刻に感じられなくなってしま ...
ナミオカコウタロウ『星を見にいこうぜ』【そこの倒れそうなあなたに届いて欲しい、自分を赦す歌】
優しい歌。今の日本では鬱とか過労死とかがさほど珍しくなくなってきていて、それこそが異常なことのはずなのに日常になっていて恐い。なぜそんなことになっているのかというと、結局はマジメすぎるからなのだろう。子供の頃からあれをやらなきゃこれを ...
LONGMAN『WALKING』
【祝活動再開! LONGMANやっぱりカッコいいよなあ】
それにしてもLONGMAN良いよなあ。前回レビューしたのが2017年4月で、どうやらその頃から1年半活動を休止していたらしい。先月公開されたこのMVには、活動再開おめでとう、この日をずっと待ってたというファンのコメントが並んでいる。お ...
和田唱『1975』【自分のルーツというものから別に逃げる必要など無いんだよなあ】
タイトルの1975は和田唱の生まれた年。42歳か、このあいだトライセラトップスが若手バンドとしてでてきたような気がするけど、活動開始から22年。もうベテランバンドだし、和田唱もうオッサンだ。その彼が東京の街並を歩きながら進んでいくMV ...
Arakezuri『夏暮れ』【次のステージに進んでいく。その手前の、ほんのひとときだけ】
夏が終わる歌。Arakezuriという滋賀県の若手バンドが渾身の演奏を見せる。突っ走るという言葉がピッタリのパフォーマンスで、それなのに全体に気怠いテイストがあるのはこの曲が夏の終わりを想わせるからなのだろう。夏が暑いというのは生活し ...
MONAN『夏の水槽』【夏が終わる時の寂しさや物足りなさがよく表れている】
どの季節にも良いところも悪いところもあって、待ち遠しかったり、過ぎるのが寂しかったり。そんな中でも夏が終わる頃というのはまた特別な感傷がある。今年のように酷暑で自然災害が多かった夏でさえそうだ。こんなに暑いのはもう勘弁してくれと思い、 ...
小林未奈『誰のせい』
【遠くから流れる音楽が持つ他人性が人の背中を後押し】
最近は人に「頑張れ」と安易に言ってはいけないというのが一般的になってきている。頑張れがプレッシャーになるからだ。では頑張らなくてもいいのかというと必ずしもそうではなくて、頑張れが背中の後押しになる場合も少なくない。ラクダに重い荷物を背 ...