徳永由希『明け方、愛について。』
【毎日が単調なリズムで支配されていて、平日も休日も切り替えなんてできないよ】
このルーズに進行していく歌。まるで日常のリアルがそのまま歌になっているようだ。ルーズというか、ダルいというか。テンポよく進んでいく日常のリズムに懸命についていこうとするけれどももう無理、みたいな。その結果あらゆることをきちんとすること ...
モーモールルギャバン『消えて』【地味ながらもジワジワとしたインパクト】
消えて、消えて、消えて、繰り返す。様々なものが自分の目の前から消えていく。消えて欲しいものが消えることもあれば、なんで消えちゃったんだよと憤りたくなるものだって消えていく。人生はそうやって大切なものを失っていくことを積み重ねることであ ...
littleneem『URUSAINA』【隙間を埋めるための余計な楽器音なんて要らないんだよと高らかに宣言しているよう】
変拍子の曲には毎回ひっかかる。変拍子の側からすると別にオレらが変なんじゃないしと言うかもしれないが、「通常」の3拍子や4拍子に慣れきっている耳からすればやっぱりそれと違ったのを変拍子と言っちゃうし、そういうリズムの曲が流れてくれば「ん ...
ヒヨリノアメ『東京』【誰もが居場所を得て、誰からも気付かれずに小さな花を咲かせていく】
聴いていて、東京という場所の特殊性がにじみ出てジワジワと心の中に広がってくるのを感じる。華やかで切ない、東京の記憶。彼らは東京に東京に落ちていくと歌っている。以前にも何かのレビューで書いたような気がするが、東京にはいくつもの小さな空間 ...
Response『magic music』【音楽を聴いたからといって空腹が満たされるわけではないけれどもね】
不思議なパワーを持っている曲だ。タイトルのmagic musicというフレーズを延々繰り返しながら始まる。音楽の仕組みを言葉で説明するような歌詞が展開していき、ある意味音楽理論の基本講座的な構成だが、聴いている人はそういう理論というか ...
amazarashi『未来になれなかったあの夜に』【過去の延長線上にある今の自分として「ざまあみろ」を噛みしめる】
amazarashiの音楽はいつも横たわる問題とそれに対する諦めのような現状容認がある。一時期それとは違うフィールドに踏み出したかのように感じたこともあったが、今作では王道ともいえる悩みの中心に仁王立ちしているような趣がある。 ...
純情マゼラン『踊るお坊さん』【踊るお坊さんくらいいてもおかしくないだろと思ってたら、既にありました】
昨今仏教界もいろいろな試みが行なわれているようで、坊主バーではお坊さんがカクテルを作ってくれるそうだ。行ったことないから本当かどうかは知らないけれど。京都でも名刹中の名刹、浄土宗総本山の知恩院ではお坊さんによるバンドが結成されていて、 ...
なきごと『ドリー』【なんだ結局1年前のレビューと同じことを書いているぞ】
1年ぶりのなきごと。やっぱりギターがカッコいい。特別な奏法をしているわけではないし、超絶な技があるわけでもない。なのにこれだけギターがカッコいいのはなんなんだろう。ときどきいるんです。サンボマスターの山口隆なんかもそうで、こいつギター ...
アシノイヌ『ダンス・リー』【ハラハラしながらこういう原石の行方を眺めるというロックの楽しみ方】
ワイルドだ。とにかくワイルドだ。ワイルドはワイルドなりにワイルドのドレスコードをしっかりと押さえた上でワイルドなテイストを打ち出しているバンドはそこそこいるけれど、彼らはそんなの知らねえよとでもいわんばかりの素っ気なさ。このMVを見て ...
HEADLAMP『Country mom』
【その点、この曲にはどういうわけだか哀愁がある】
猪突猛進。若者の突破力のようなものを感じる。終始明るいテンションに貫かれた5分ちょっとの曲には、そのテンションとは裏腹に旅立ちの切ない気持ちが詰まっている。ピーター・ポール&マリーのカバーで有名な『500 miles』にも通じる旅立ち ...