Xul Zolar『Fear Talk』【バンド名の読み方は? ドイツの4人組による気怠い午後の夢のような曲】
ドイツの4人組らしいのだけれど、どのように読んでいいのかわからない。ズール・ゾラーでいいのだろうか。大学の第2外国語でドイツ語を選択しなかったことを後悔しかけたが、それもまたむなしい。正直このバンド名がドイツ語かどうかさえ、私にはわか ...
Jóhann Jóhannsson『Flight From The City』【改めて生死とは二分化でない不明瞭な概念だと思う】
例えば、「難死」とは小田実氏の造語だが、字義の意味合いとしては、そこにあまりに悲惨な死に方があるということ。そして、その死がまったくの無意味な死であること、第三にはその死は一方的なものによって突然にもたらされたということで、死の種類や ...
永久らんど『旅立ちの歌』【変わること無い土臭さを忘れることなく持ち続け、未来へと】
大阪のバンド。土臭い。言い換えるなら汗臭い。それは決して批判の言葉でなどなく、このバンドがリアルだという証のようなものだ。校舎の後ろに山があり、田畑が広がる。風が吹けばきっと土ほこりが舞い上がる。日本全国にはあたりまえのようにこういう ...
カノエラナ『サンビョウカン』【現実を受け入れ無理難題の音楽業界をすり抜け泳ぐこと】
カノエラナ、musiplでは2年前にレビューを掲載していて、また取り上げたくなった。きっかけは、朝の子供番組『みいつけた!』で彼女の名前を見て。「カゲのオバケ」という歌の作詞作曲がカノエラナ。歌の中で女性の声は聴こえるものの、あれ、カ ...
UNISON SQUARE GARDEN『君の瞳に恋してない』
【捻くれながら、どこか筋の通った美意識】
この時代における、オルタナティヴな位置から一気にフロントラインの尖端を目指すさまの鮮やかさが彼らの場合はブレなく映る。捻くれながら、どこか筋の通った美意識。ロック・バンドとしての何かさえも忖度されてしまうご時世で「内破」してゆき、BG ...
清水翔太『Good Life』
【Good Lifeのゴールが社会的にサクセスではなく、自分自身でいろということ】
どこまでが本当の声で、どこからが偽の声なのだろうか。エフェクトがかなりかけられていると思われるボーカルが淡々と歌う。歌うというのが適切なのか、語っているというべきなのか。その人工的な声は、だからといってボーカロイドのものとは違うし。で ...
No Age『Send Me』【このローファイで、ノイジーで、気怠さと抒情的感情の絡まりっぷり】
4年ぶりのニューアルバムが出てくれて、とにかくうれしい。このローファイで、ノイジーで、気怠さと抒情的感情の絡まりっぷりこそ、まさに彼らの真骨頂だ。痒いところとこれから痒くなりそうなところにも手が届くような、実に気持ちのいいナンバー。ミ ...
クリトリック・リス『バンドマンの女』【Nさんが東京でバンドマンの女になったのかは知らない】
愛媛出身OLのNさん、遠距離恋愛の彼が居る東京へ来たら連絡取れなくなったという。「良く来る」みたいなバンド名のVoが彼氏。ライブツアーで四国に来る度に愛を育み「新曲『君の花』はNの事を詞に書いた」と言われたそう。Nの花、世界配信中。彼 ...
evening cinema『告白』【ポップネスクオリティを背景に、この一瞬キモイMVがブレイクスルーになるのか!】
イイ。イイぞ。月曜日からなんかスゴくアガる! 最初一瞬ゲッツの人かと思うようなやさ男っぽいおにーちゃんが全身で熱唱する。それがひとむかし前のiTuensのCMみたいな映像で展開するMV。聴いているうちにワクワクしてくる。ポップってこう ...
LILI LIMIT『LIB EP』
【自由のようで自由ではない、今の時代の今の社会の中で生きること】
若い頃にディスコというのが流行って。友人たちもそこによく足を運んでいたようだが僕は1度も行ったことはない。スクリーンでトラボルタが踊っているのを見ても心ときめいたことはない。アメリカに行ったときにホテルのロビーにまだあどけない現地の少 ...