Tom Misch『Water Baby (feat. Loyle Carner)』【何かもう圧倒的な「完成」っぷりを感じさせる若き天才】
ものすごい新人が現れたことに間違いはないのだが、弱冠二十二歳、というような表現は、むしろその才能を貶めているのではないだろうか。それほどまでに、何かもう圧倒的な「完成」っぷりを感じさせる。とにかくモダンでおしゃれ。派手すぎないバランス ...
LotusLounge『Future Days』【この子も今ではおおきくなって、達者に親子喧嘩などしてると思う】
東大生でも正答率約3割のテスト「自分の母親に関する100問を解く」というのが面白かった。「あなたの母の学生時代のあだ名は?」「あなたの母が無人島に一つ持って行く物は?」など、お母さんのことをどれだけ知っていたか。何かの小説に、結婚相手 ...
松本かつひろ『DAIJI』【答えはやはりまだまだ霧の先の中にしか無く】
facebookで誰それが誕生日ですよと日々教えてもらう。知人が幾人か亡くなり、その人のタイムラインに誕生日ごとに「誕生日おめでとうございます」というメッセージが並ぶのをみて、ああ、こういう愚をしてはならないなと思うようになって、fa ...
小島麻由美『泡になった恋』
【平成も終わって、昭和歌謡というジャンルは歴史の向こうに行ってしまうのだろうか】
昭和歌謡ブームというのが1990年代中盤に沸き起こった。沸き起こったというのはちょっと違うかもしれない。すでに趣味の多様化が起こりつつあった頃なので音楽シーン全体を覆うようなブームではなかったけれど、一部の音楽ファンの中ではレトロな歌 ...
白いベランダ『街の白い手』
【こういう音楽に出会うということは、ラッキーなことだなあ】
この会場は一体どこなんだろうか。壁があって、吸音ボードのような穴があいた板が組み込まれていて、そこに額をいくつか掛けてあって。額を掛けたら吸音効果が失われるんじゃないのかとか思ったりもするけど、そんなことはおかまいなしなんだろうね。そ ...
バレーボウイズ『ひがしのまち』【きっとトガった何かを抱えているんじゃないかなあと期待しちゃう合唱バンド】
不思議な熱を帯びている歌だ。彼らのHPには「昭和歌謡テイストなメロディといなたい歌詞」という言葉がある。この歌を「昭和歌謡テイスト」というにはちょっと無理がある。昭和歌謡っていったい何なんだろうか。もうすぐ平成も終わる。次の元号になれ ...
Courtney Barnett『Nameless, Faceless』
【ゆったりとしたテンポ、力みのなさそうなボーカルがこれほどまでにかっこいい】
Kurt Vile(以前レビューで取り上げた)との共作もすばらしかった彼女がオリジナルアルバムを近々発売する。その先駆けとしてシングルを公開。まるで気張っていない曲なのに、やたらとかっこいい。ごりごりに力が入っているよりも、緩みのある ...
山口穂乃佳『と。』【女性シンガーはそのひとりの中にもいくつもの側面を同時に持ち得るということ】
女性シンガーは本当に多くて、男性シンガーももちろん多いのだが、女性シンガーは多いよなあというのが個人的な最近の感想で。そして女性シンガーには幅が広いなあという印象があって。ひとつには女性シンガーはそのひとりの中にもいくつもの側面を同時 ...
ピッピズ『夢の続きをもう一度』【札幌の人はこの程度の雪で自転車をかっ飛ばすのは普通のことなんでしょうか?】
バンドマンが練習スタジオに向かって自転車で疾走するビデオ。もう見ていられません。だって、雪ですよ。雪。札幌のバンドですけど、このピッピズ。札幌の人はこの程度の雪で自転車をかっ飛ばすのは普通のことなんでしょうかね。この冬は京都でもよく雪 ...
夜ハ短シ『やさしさについて』【目立たないし何がどうだって言えない良い曲というもののありがたみ】
なんてことはないのだ。なんてことのない曲。だけれども、なんてこともないのだけれども、ついつい手を止めて聴いてしまう。こういう曲のことは、とても困る。どう言い表せばいいのかわからないからだ。音楽はそれ自体在れば良くて、聴けば良いじゃん、 ...