はなざわりずむ『ステージ』【究極の等身大くよくよソングと命名したい】
歳を重ねるたび、自分という価値が無くなっていくのかな。24歳のシンガーがそう歌い始める曲を聴くとドキッとする。その倍以上生きている僕の価値は今でもあるのかと。いや、あるよな。ありますよ。倍以上生きても価値がなくなることは無い、はず。サ ...
松本佳奈『あの陽だまりは瞼の裏』
【命が続いていく、陽だまりのような光景を】
音楽で生きていくということが以前のようには容易ではなくなった時代、それでもミュージシャンは音楽を紡ぐ。それは音楽で生きていくというのではなく、音楽をやるために生きているという佇まいのようだ。
松本佳奈というシンガーはプロな ...
朔良『Inging』【SNSでは取りこぼされる何かが生み出す、押し出されていく時の感傷】
卒業をする時に、もうみんなに会えなくて哀しいみたいなことを言ってる同級生がいて、そういうの不思議で仕方なかった。別に学校がイヤだったとかではない。クラスメイトと言っても全員が友だちなのではなくて、そんなに好きじゃない人とはもう金輪際会 ...
シロとクロ『night walking』【とびきりの笑顔を惜しげもなく披露する、爽やかなポップロックバンド】
なんと爽やかなのだろう。サウスポーギター&ボーカルのひのくんが終始笑顔。見れば一目瞭然のイケメン。イケメンというべきか、キュートなルックスが多くのファンを一瞬につかむだろうことは想像に難くない。ルックスというのは生まれ持ったものではあ ...
Joe Armon-Jones『Starting Today』【とっつきやすい新世代のジャズ・セッション】
今、ロンドンのジャズシーンが熱いことになっておいもす、と西郷どん風に始めてみた。皆さん、いろんな意味で当惑されているだろう。だが、このところUKジャズアーティストの新作が続けざまにリリースされているのは確かなのだ。というわけで、このセ ...
照沼サラ『エンドロール』【懐かしさなんていうシンプルな言葉では説明のつかない切ない記憶を】
タイムスリップしたような気持ちになる。自分の過去を疎かにしたいなどと思ったことは一度もないけど、あの過去に別のことが起きていたらと考えることはある。タイムスリップで想定するのはいつも過去で、あのとき自分は何を考えていたのだろうとか、な ...
ベントラーカオル『むきだし』【頭オカシイバンドの、頭オカシイ要素を垣間見る素敵なソロ活動】
なんだこのなよっとした感じのおにーちゃんの力が抜けた歌は。でもただのなよっとした力の抜けた歌じゃないよな、だって耳につくもの。明らかにアブノーマル。ただ者ではない。と思っていたらクウチュウ戦(現在はKoochewsen)のメンバーでし ...
山本達彦『夜のピアノ』【当時家にあったプロモーションカセットを繰り返し繰り返し聴いたよ】
80年代にいくつかのヒットを飛ばした山本達彦。コーセー化粧品のタイアップに起用され、当時母が化粧品店を経営していた関係で家に山本達彦の曲が数曲入ったプロモーションカセットがあった。音楽ソフトが高かった当時、聴けるものはなんでも聴いてい ...
Bakyun the everyday『TOKYO!!!』【素晴らしきニセモノ空間東京よ永遠なれ!】
東京について歌う曲が多いのは、そもそも人口が多いのに加えて、若者たちがこぞって東京に向かうからでしょう。過大な夢を抱いて向かい、現実はそんなに夢など実現しないということに気付く。しかし感覚が敏感な年頃に体験と記憶を重ねた街に対して思い ...
Apple O’『ハッピー』【その辺に自然にある風景の中に潜んでいる価値ある風景のような音楽】
ポップミュージックって一体なんだろうといつも思ってて、頭の中で漠然とした定義はあるのだけれども言葉でそれをハッキリさせることは出来ていない。でも曲を聴いて「これはポップだ」「これはポップじゃない」と判断することは出来る。Apple O ...