Uru 『あなたがいることで』
【個性的な声よりも歌のうまさが先に立つのがUruのすごいとこ】
Uru、歌うまいよなあ。歌手なんだから歌がうまくて当たり前なのかもしれないけれど、そんなのわかってるけれど、それでもあらためてうまいなあと感じずにはいられない。じゃあうまいってどういうことなんだろうと考えてみる。音階通りに歌えるとか、 ...
あいみょん『さよならの今日に』【驚くほど起伏の無い曲に、今の彼女の立っている地点を知らされる】
この曲の起伏の無さに驚く。あいみょんだ。シンガーとしては今の時点でトップクラスの知名度と人気を誇る人だ。そういう人の歌う歌で、タイアップ必至の曲で、この起伏の無さ。その起伏の無さが、今の彼女の実力のほどを物語っている。
ま ...
NUMBER GIRL『透明少女』【久しぶりに見た、再結成後のナンバガ】
NUMBER GIRL、知らないうちに再結成してた。しかも再結成から1年以上経過していた。2002年の解散から17年ぶりの再結成ってどうなんだろうか。最初の活動期間が7年だったので、その2.5倍もの期間が過ぎ去ってて。それでも待ち望ん ...
PELICAN FANCLUB『Amulet Song』
【お守りの歌という意味を持つこの曲が、次の一歩を見守ってくれる不思議な力を】
歌詞をよく読んでみる。歌詞なんて曲とセットで成立するものだから、メロディーやビートを抜きにして言葉を追うことのなんと虚しいことか。しかしながらこのサウンドに身を任せて断片のみを拾うようでは、この歌詞に込められた意図を受け取ることはでき ...
鈴木実貴子ズ『問題外』【少数派からの悲痛な声を代弁するように歌うマッチョな歌】
個人的には女版長渕剛と思っている。それは音楽のサウンド的メロディ的リズム的なものを押し出して表現するよりも、歌詞の中に込めたメッセージを押し出して表現することに大きなウェイトが置かれたアーチストだからだ。だったらメロディなんてつけずに ...
星野源『私』
【現代の静かな個人主義のような時代性】
先週あたりからコラボ動画で話題となり、毀誉褒貶も受けた星野源。結果として毀誉褒貶に彼自身は何の関係もなく、さぞ迷惑だったろうなと心情を推し量るが、そのコラボ動画の2ヶ月ほど前に公開していたMVがこれ。静かな歌。弾き語りというにはあまり ...
ank『生きることは、音楽』【当たり前のことに気付かなかったり忘れてたりする人が多い今だからこそ】
学生時代にバンドを組んでいても、卒業が近づくと髪を切って就活を始め、やがて音楽を辞める選択をするミュージシャンをよく見かけた。音楽でメシは食えないから辞めるんだと。
新型コロナウィルスのせいでライブハウスが槍玉に挙がって、 ...
羊文学『人間だった』【人間で在ろうという強い意志であり、便利を諦めろという警告】
しばらく前のベストセラー『ホモ・デウス』で、ユバル・ノア・ハラリは人類は不可逆的に進化していると述べた。ホモサピエンスは他の類人猿とは違った進化を辿り、そして今がある。進化によって得た快楽を手放すことなどできず、進化はさらに進む以外に ...
植田真梨恵『Stranger』【選んできたチョイスが間違ってたとして、今ここが今日の通過地点】
アーチストにはそれぞれスタイルというか型というものがあって、リスナーはそれをそのアーチストが本来持っていた固有の素養と思いがちだが、音楽がけっしてひとりではビジネスになり得ないこと、しかも若くてビジネス経験の浅いアーチストがビジネスと ...
Lucky Kilimanjaro『Drawing!』
【閉塞感の中で出会った、僕らを突き動かそうとするエネルギー】
約1年半前に彼らのレビューをした時に「閉塞感の打開への意志が強く打ち出されていて心地良い」と書いた。ひとりの夜という押しつぶされそうな闇の中をズンズンと突き進む心地良さ。心地良さというか、突破力のようなものを感じたのだった。それからさ ...