土岐麻子『Black Savanna』
【捨て去ることで、永遠に手元から失われる何かというものは確かにある】
土岐麻子の新譜を聴いていて。ひっかかるのは「Cry For The Moon」という曲だった。人間生きているといろいろなものを所有していく。所有はそれ自体喜びだが、その喜びが増えていけば増えるほど自らを縛る。持つことによって狭くなる部 ...
メメタァ『僕がメガネをとったら』
【ああ、これはアンサーソングだ。いや多分違うのだけれど】
ああ、これはアンサーソングだ。いや多分違うのだけれど。昨年3月にこのメメタァの『ハイライト』という曲のレビューを書いて、メガネボーカル西沢くんのことを「平成の大江千里」と呼んでしまった。別に僕だけじゃなくてみんなが言ってるのだろうし、 ...
SonoSheet『擦れ違う街』
【梅雨があけた夏本番にこそ聴きたい、浜省的ロックサウンド】
バンドのマークと思われるマークをお面として顔につけて街を歩くシーンとスタジオでの演奏シーンが交互に映されるミュージックビデオ。このスタジオがめちゃ狭い。これはスタジオなのか?普通のワンルームマンションの方が広いだろう。倉庫スペースなの ...
アシタカラー『星明りのワルツ』【ささやかな歌の、ささやかな福音を】
生きていれば嫌なことも多かろう。そんなことを全部受け止めてやると、この歌は歌っている。歌ごときで全部受け止められるわけはなかろうとか、気にしないわけにはいかないんだよとか、ツッこもうと思えばいくらでもツッこめる。しかし、そうだろうか。 ...
クアイフ『さよならライアー』【変わっていくことで、変わらない自分たちの何かを確認するような進化】
クアイフがどんどん変わっていく。そりゃそうだ、誰だって変わっていく。変わることは悪いことではない。その変化の中でどれだけの確固としたものを手放さずにいるのかを知るためには、むしろ変わっていかなければならない。自分を知るということが、変 ...
Nakanoまる『笑う女の子』【自分の笑顔を後悔するほど惨めなことはない】
19歳の子を面接採用。試用期間後まだ働きたいということで、社長や幹部等の組織で席を追われない権力者からセクハラを受けた場合の対策講座をしました。偉い人は立場を利用して下ネタの許容耐性を試す。生活を失う訳にはいかない女の子が嫌悪しながら ...
松本佳奈『あの陽だまりは瞼の裏』
【命が続いていく、陽だまりのような光景を】
音楽で生きていくということが以前のようには容易ではなくなった時代、それでもミュージシャンは音楽を紡ぐ。それは音楽で生きていくというのではなく、音楽をやるために生きているという佇まいのようだ。
松本佳奈というシンガーはプロな ...
夜ハ短シ『やさしさについて』【目立たないし何がどうだって言えない良い曲というもののありがたみ】
なんてことはないのだ。なんてことのない曲。だけれども、なんてこともないのだけれども、ついつい手を止めて聴いてしまう。こういう曲のことは、とても困る。どう言い表せばいいのかわからないからだ。音楽はそれ自体在れば良くて、聴けば良いじゃん、 ...
Chara『ミルク』
【Charaももう50歳だなんてまったく信じられません】
Charaももう50歳だそうだ。驚くな。まあデビュー27周年だそうだからいつまでも20代や30代でありえるはずもなく、1990年代にデビューしたあれやこれやが50歳であっても何の不思議も無いし、当時から50代かと思ってたアーチストだっ ...
アカシック『いちかばちかちゃん』【おもしろいもの、好きなものがありすぎて、消費する時間だけがただ足りない】
「めちゃイケ」終わっちゃったね。2018年頭から最終回までは、武田真治のラジオ番組で語られる公式の様な予告を知りつつ見るのが面白かった。光浦靖子がサックス持ってて吹けるとか、濱口優がサックス持ってて吹けるとか、そういうサブ情報も。ビジ ...