クアイフ『桜通り』
【忘れないようにしないと忘れそうで怖いよ】
自死した友人への想いを綴った歌。ソニーからデビューして以降MVをショートバージョンで公開することが多くなったクアイフの、これはフルサイズでのMVだから、そうすることに彼らなりの強い意図があるのだろう。問うても答えが帰ってこない問いかけ ...
それでも世界が続くなら『死にたいって言えばそれだけで』【徹底的に面倒臭いものとして提示した、その先の価値へ】
死にたいとか、会社辞めたいとか、言える人はまだましだと思っていた。口に出して言うことでその瞬間にプレッシャーは少し放出されるから。まだ会社勤めをしていた頃、幾人かの「辞めたい辞めたい」くんを知っていた。だがそういう人に限って辞めること ...
土岐麻子『美しい顔』
【懐かしさを帯びつつも最前線というのが本当にすごい】
土岐麻子の歌はどこか懐かしさを帯びていると思っていたら、これなんか本当に懐かしい。YouTubeのコメント欄にもたくさんの人が書いているが、資生堂のCMに出てきそうだというのはまさにその通りで。しかし資生堂も2019年の現在にこんなC ...
黒木渚『美しい滅びかた』【普通の人にはならないでって君が呪った、私を呪った】
自分の生き方は自分で選ぶ。そんなことは当たり前だと思うけれども、本当に自分で選んで生きている人はどのくらいいるのだろうか。選んでいると思っていても社会や自然に起こる様々な出来事に振り回されて翻弄されている人は多いし、予想外のラッキーに ...
ウソツキ『0時2分』【こういうパフォーマンスができるバンドは実はそんなにはいるものじゃない】
タイトルが0時2分で、サビでその「れいじにふん!」をシャウトする。何度も聴くとそれが「0時2分」だと認識できるけれど、最初はすぐにはわからず、「れーじーにゔー!」を繰り返しているように誤解した。なにか外国の人を愛してて、その人の名前を ...
Drop’s『アイラブユー』【自分の意思と希望で音楽に向かいあっている人の表情】
Drop’s、久しぶりに見たぞ。5年以上前に『かもめのBaby』という曲で松浦氏がレビューしてて、すこしばかりハスキーなボーカルでレトロな曲を演奏していた。正直ピンとこなかった。全員が揃いの革ジャンを着てて、そういうキャラ ...
あのね『眠らない夢を見た日』【音楽のちょっとした力というのは人の背中を押すのに有効なんだなあ】
東京を中心に活動する3人組のガールズバンド。普通の楽曲であれば明確に分かれているAメロBメロサビみたいな展開がなくて淡々と歌われる。いや、あるんだけれど、ここがサビですよ聴きどころですよみたいなアピールを一切感じない。そういう構成だと ...
ヒグチアイ『どうかそのまま』【いつ誰が自分自身を責めるようになったとしてもおかしくはない】
数年前に感じていたヒグチアイの熱量たっぷりの演奏と歌唱が、このところ鳴りを潜めている、と感じていた。この曲もそうだ。この淡々とした歌唱。力を入れている素振りすらない。いってみれば、誰にでも出来る表現だ。こんなの、他の歌や曲と比較してわ ...
スピッツ『優しいあの子』【フォーキーで、アイリッシュ調で軽快なスピッツのほんの叙情的な一曲】
2019年になり、日本は元号も変わり、気象状況や世界情勢も慌ただしく日々刻々変わりゆく。かつてまでの常識は時代遅れになり、絶対的な正論の束が異端者を探し出す不気味さを帯びた空気は極まりながら、個々としての自らは犠牲者に加害者にならない ...
ナミオカコウタロウ『旅の途中』
【旅の途中で泣いたり笑ったりして】
特に計画をしていない旅に出るというのは勇気の要るものだ。やったことのない人には。しかしやったことのある人にとってはそんなのなんでもないことで、むしろ計画をガチガチにした旅なんて息苦しいことこの上ないだろう。例えば海外に旅して、バックパ ...