マイアミパーティ『つれづれ』【いい声は、サウンド全体を自由にする】
聴いた瞬間に、声がいいな、と感じた。よくよく聴き返せばこれをいい声だと断言した理由が何なのかよくわからなくなってくるのだが、声楽の人のような澄んだ声とは対極にあるような歌声なのだが、でも直感でいい声だなと思ったし、理由がよくわからなく ...
RETO『Restart』【彼らのリスタート。バンドが疲弊して活動休止してしまってから寂しがってももう遅いのだ】
これまで3度レビューを紹介してきたRETO。彼らの作品の深さやMVとの関係性、アイディアの卓抜さなどに惹かれて「紹介しなくちゃ」と何度も思わされたのだが、そういう彼らも現役のバンドであって、当然のようにライブはしているはずだったのに、 ...
GRAPEVINE『Alright』【必要なのはともに笑える大丈夫な人たちとのか細い時間だ】
ホーン・セクションの華やぎ、問いを投げかけるような歌詞の下でうねるグルーヴ。ポップネス、そして、フェイセズ、ストーンズ、ウィルコなどから通じるブルージーな重さと、どこか乾いたサイケデリックな音像。今では珍しくなったほどの”ロック・バン ...
神楽ファミリア『劣等』【こういうのを聴き逃しているのはもったいなくて、愚かしくて】
キレのある音楽を聴くのはとても心地がいい。たとえその音楽が表現しようとしている世界観がダークでネガティブなものだとしてもだ。だから当たり前のように、ポジティブでポップで誰かの背中を押してくれようとするような音楽であってもキレのない音楽 ...
Pororoca『ローカルトレイン』【都会に出る女子と、田舎で想う男子、2018年ヴァージョン】
田舎に住む人が、都会に出た人を気遣う歌。一昨日の『遠くまで行く君に』もそうだったが、田舎に残るのが男子で都会に出たのが女子という構図が最近は一般的になってるんだなというのが興味深い。もちろんずっと前から女性も都会に出ていってたし、それ ...
boygenius『Me & My Dog』【3人の歌声の響き合いはまさに完璧。うっとりと聴き惚れてしまう】
Julien Baker、Phoebe Bridgers、Lucy Dacusのアメリカインディー界の若手3人が組んだプロジェクトがこちら。若く、きらめくような才能の持ち主である彼女たちが、自らを「boygenius」と名づけることに ...
Absolute area『遠くまで行く君に』【きっと帰ってくるのだ。そう思いたくともほとんどの場合、遠くに行く人は帰ってこない】
大切な人が去っていく。去っていくのではなくて遠くに行く。だからきっと帰ってくるのだ。そう思いたくともほとんどの場合、遠くに行く人は帰ってこない。共有していた時間や記憶は連続しているから共有なのであって、一旦途切れるともう記憶でしかなく ...
あいみょん『マリーゴールド』【あいみょんに拍手を送った大晦日だった】
昨年末の紅白歌合戦で注目していたのはあいみょん、DAOKO、Suchmosの3組。YOSHIKIとHYDEが一緒に出るとか、布袋がバックギタリストで石川さゆりと出るとかもあったし、サザンの演奏にユーミンが乱入したとかいうこともあったわ ...
GONTITI『Tree Rings』【40周年! 彼らと同じだけリスナーの僕らも歳を重ねているのだ、気がつきにくいだけで】
ゴンチチ40周年。20周年はもはや当たり前、30周年ともなるとベテランだなあと思うけれども、40周年となってくるとなかなか見ない。だって20歳で結成しても60歳になるわけで。たまに何十周年といって突発的にライブしたりするバンドはあるけ ...
田川伸治『スワロウテイル feat.山﨑和也』【「誰かのために生きてきた」という歌詞が何度聴いてもひっかかる】
何度聴いてもひっかかるのは、「誰かのために生きてきた」という歌詞だ。この国には誰かのために生きるべしという呪縛がかけられている。子は親のため、親は子のため。自己犠牲をして社会に貢献せよ。耳ざわりはいいかもしれないが、それは戦時中の国の ...