GLIM SPANKY『ストーリーの先に』【安定の実力派。もう言葉で表現する方法が見つからない】
GLIM SPANKYを最初に知ったのはメジャーデビューの前年2013年の夏で、その頃に書いた拙いレビューが残っている。「今後の活躍も期待できるんじゃないかと思います」とかなんとか。そんなもん、期待どころの騒ぎじゃないくらいの活躍ぶり ...
クリープハイプ『バンド 二〇一九』【「クリープハイプみ」とは何なんだろうか】
クリープハイプも10周年か。新人でしかなかったバンドに10周年とかいわれると自分がどんどん押し出されていく感じがしてちょっと切ない。が、それは10周年を迎えたバンド自身もかつて自分たちがいた場所から徐々に押し出されていく的な何かを感じ ...
メレ『117』
【自称”愛を与えるバンド”の歌う、朧げながらも優しい愛の歌】
愛を与えるバンド、なのだそうだ。じゃあ愛って一体何なんだ。少しだけ意地悪な疑問を持ちながらこのやわらかくて語尾も曖昧なテイストのボーカルが歌う歌に耳を傾けてみる。すると、やがて解る。語尾がおぼろげな分だけ解るスピードも緩やかだけれど、 ...
The Futureheads『Electric Shock』【おかえり、めでたい。再結成するなら言うといてもらわんと】
再結成するなら言うといてもらわんと。どの立場からの物言いなのかわからない始まりだが、私は今、まさにこのような気持ちである。2013年に活動休止していたThe Futureheadsが復活したことも、そして今年の夏に7年ぶりのアルバムを ...
コレサワ『いただきます』
【いろいろな形の哲学と愛】
ずいぶん昔、ある人が「日本の歌には恋愛の歌しかない。洋楽には社会問題の歌や人間の内面を掘り下げた歌や、ありとあらゆる歌がある。恋愛の歌しか無い日本は遅れている」と言ったのを聞いたことがある。たしかにそうだと思った。テレビには若いアイド ...
徳永由希『明け方、愛について。』
【毎日が単調なリズムで支配されていて、平日も休日も切り替えなんてできないよ】
このルーズに進行していく歌。まるで日常のリアルがそのまま歌になっているようだ。ルーズというか、ダルいというか。テンポよく進んでいく日常のリズムに懸命についていこうとするけれどももう無理、みたいな。その結果あらゆることをきちんとすること ...
モーモールルギャバン『消えて』【地味ながらもジワジワとしたインパクト】
消えて、消えて、消えて、繰り返す。様々なものが自分の目の前から消えていく。消えて欲しいものが消えることもあれば、なんで消えちゃったんだよと憤りたくなるものだって消えていく。人生はそうやって大切なものを失っていくことを積み重ねることであ ...
富士フイルム足柄サイト × SUGIURUMN『Ashigara Film』【鼓動が鳴り続けている。繰り返しているが逆戻りはしない】
ファンでもないのに、松田聖子、中森明菜の歌の伴奏を口三味線で再現できる。そういう口でテクノを再現できる単語を探しています。意味なく直感的にぼーっと口三味線。デトロイト、ベルリンよりも、高津区のほうがミニマルテクノでしょう。8回繰り返し ...
littleneem『URUSAINA』【隙間を埋めるための余計な楽器音なんて要らないんだよと高らかに宣言しているよう】
変拍子の曲には毎回ひっかかる。変拍子の側からすると別にオレらが変なんじゃないしと言うかもしれないが、「通常」の3拍子や4拍子に慣れきっている耳からすればやっぱりそれと違ったのを変拍子と言っちゃうし、そういうリズムの曲が流れてくれば「ん ...
FKA twigs『home with you』【多重的な要素が詰め込まれた音の中に、彼女のむき出しの歌声】
デビューアルバムから5年が経ち、待ち焦がれた2ndがついに出た。曲調的に相応しい形容ではないかもしれないが、彼女のアルバムはリスナーの心を暴力的なまでに激しく揺さぶる。前作から大きく路線変更したわけではないのに、完全に圧倒されてしまっ ...