尾崎リノ『文学のすゝめ』【ミニマルに歌われている内容がすこしだけハッピーな印象でなんか嬉しい】
ミニマルな事柄を表すのが私小説ならば、この人の歌ほど私小説な表現もなかなかない。一昨年の曲『0.02mm』が結構衝撃的で。しんみりくる歌い方もそうだが、歌っている内容の、内面の後悔という限りなく個人的な、他人にはどうでもいい世界なのに ...
Pokey LaFarge『Fuck Me Up』【オールドタイム風を漂わせつつも「現代」に繋ぎ留められる不思議な感覚】
古き良きアメリカーナとでも言うべきか。オールドタイム風を漂わせつつも「現代」に繋ぎ留められるような、不思議な感覚がおもしろい。ブルースやカントリーの空気を醸し出しながらモダンさを感じるのは、軽やかさ故かもしれない。この異なるベクトルの ...
harue『失踪』【力のある女性ボーカルに頼ること無くひとつひとつの楽器に手抜きがまったくなくてステキだ】
この疾走感はいったいなんだろうか。曲名は失踪なのに楽曲からは疾走感。いや、ダジャレを言っている場合じゃないんだけれど、そんなつもりはないんだけれど、曲の頭から最後まで必要以上に駆けている感じに満ちあふれている。ポップミュージックのAメ ...
LEODRAT『コバルトマーチ』
【成長とともに世界との折り合いをつけていける、スカッとする楽曲】
小気味いいテンポで徹頭徹尾突き進んでいく曲。動画の解説欄には「LEODRATの持ち味であるシンガロング必至の歌」とある。うん、確かにシンガロングしたい。1番が終わって間奏に入っても演奏のテンポもリズムも特に変えること無く続いていき、知 ...
あいみょん『さよならの今日に』【驚くほど起伏の無い曲に、今の彼女の立っている地点を知らされる】
この曲の起伏の無さに驚く。あいみょんだ。シンガーとしては今の時点でトップクラスの知名度と人気を誇る人だ。そういう人の歌う歌で、タイアップ必至の曲で、この起伏の無さ。その起伏の無さが、今の彼女の実力のほどを物語っている。
ま ...
THOMAS CAT『戦争はだいぶ前に終わってる』
【反戦をテーマにした重めの楽曲と、それを支えるパフォーマンス】
戦後っていう。75年ほど前の壮絶で悲惨な戦争を2度と繰り返さないためにと人々は様々な努力をしてきた。戦後。平和が続いて75年。そんな中で、「現在はあの戦前の雰囲気に似てきた」という話がチラホラと聞こえてくる。
悲惨な戦争の ...
edda『バク』【世の中に埋もれているあらゆる感情や声達を人々に伝えたい】
怖い。絵が怖い。クレジットによるとイケガミヨリユキという人のイラストなのだそうだ。ネット上で見られるイケガミヨリユキ氏のイラストを見る限りではそこまで怖さが先行しているのではなくて、むしろファンタジー寄りのほのぼのとしたテイストが主流 ...
Cornershop『St Marie Under Canon』【久々なのに、この感じ。今でも彼らの曲に心躍る】
帰ってきたきた、Cornershop。久々なのに、この感じ、完璧にCornershopでしかない。イントロの10秒で伝わりまくる、まさに彼らにしか出せない味わいだ。UKロックをベースにしつつ、エスニック感、サイケ感も混ざり合うこのテイ ...
RAF『世界』【明日は決定しているのではない。今日は決して続いてはいかない】
日常が100%満足で充足しているのであれば、旅にでる必要なんて無い。満ち足りているようでも、気付かないストレスに晒されていて、それで非日常を味わいたくて人は旅に出る。そういう旅は、またそこに戻ってくることを前提にしている。ストレスから ...
Non Stop Rabbit『全部いい』【困難に直面するかもしれない若者に向けた予防的かつ優しさに満ちたメッセージ】
次々と繰り出されるメッセージ。ともすれば、それは無責任じゃないのと言われかねない発言ばかりなのだが、そういう発言、哲学を「無責任」だというのが主流の社会だからこそ、この言葉たちが強い力を放つし、その言葉を必要としている人たちに対する救 ...