かろうじて人間『横浜よこよこ』【一種の禁じ手を敢えて冒しているのではないだろうか】
不思議な非現実感が漂う。対立するような概念の言葉が交互に並べられてて、その連続が一定のイメージを思い浮かべることを妨げているのだけれど、ずっと聴いているうちにその「イメージが像を結ばない」ということこそひとつの表現なのではないだろうか ...
LCD Soundsystem『tonite』【ノリは以前のまま、ハイテンションな楽曲で見事に復活!】
かつて、いぇーいぇーいぇー、とだけ言ってるような曲(あまりにおおざっぱすぎる説明だが)を作った、その精神は健在なようだ。活動休止を経て、見事に復活。7年ぶりとなる新作全体に言えることだが、以前のノリで戻って来てくれるのがうれしい。こち ...
ルルルルズ『誰もしらない』【自然体に回帰した印象のある、3年ぶりの新曲】
ファーストからずいぶん待ったぞルルルルズのセカンド。そしてこのMVはずいぶんお洒落な雰囲気に満ちていて、ルルルルズってこんな感じだったっけという気がしないではないが、その予想外は期待外れとはまったく違って、むしろ嬉しい。まあ一般にポッ ...
BUGY CRAXONE『ぼくたち わたしたち』【歳を経験を重ねていく人たちの音楽はひと味もふた味も】
BUGY CRAXONEを一言でいえば、不器用なバンドということだろう。すずきゆきこの特徴あるハスキーなボーカルがとても魅力的だし、サウンドもかなり硬派で、意識的にリスナーに届く曲を適切に出していけばもっと違った今になっていただろうと ...
BECK『Dear Life』【満遍ない安心はでも、もはやどこにあるのだろう】
「絶対」という概念には果たして意味があるのか。絶対に“されてしまう”と、おそらく、歩ける幅がせばまる。帰り道にこのルートを必ず辿るという人、白線だけを踏んで帰ろうなんてこともあったような、今もあるようで、では、寄り道を不意にしてしまっ ...
blue but white『miss you』【もしたった1曲で姿を消したとしてもこの曲が残るなら】
とにかく失敗の連続で、できることならなかったことにしたいことばかりで人生はできている。だけどいちど起きたことはなかったことになどなる訳も無く、なかったことにしたいような出来事への評価ばかりで、誰かから見た僕の評価もできてしまっている。 ...
ecke『ACCESS』【涼しくなるこの季節にマッチする、古いアルバムを思い出させた1曲】
この気怠いミュージックが、夏の名残を懐かしむこの時期にとてもフィットする。サウンドのテイストはシティポップのそれなのだが、そのテイストを蹴散らす勢いの存在感で迫ってくるのがNao Moriのボーカルだ。この鼻にかかるような独特の歌声を ...
Grizzly Bear『Neighbors』【退屈とは無縁の躍動するリズム、なんと懐の深いバンドだろうか】
やさしくうねるようなギターの進行とやわらかい音色。憂いのある歌声。透明感のあるコーラス。退屈とは無縁の躍動するリズム。それらの要素が重なり「完成」された曲だ。うっとり聴き入ってしまうし、心地よいバックグラウンドミュージックとしても、ま ...
MOLE HiLL『モノゴコロ』【ストレートに真正面から前向きなメッセージをズドンと】
ボーカルとよく似た子供が登場するMVで曲のタイトルがモノゴコロ。斜に構えて評するなら割とベタ。だが、そんな斜に構えたシニカルな評が哀れに思えてくるほど、彼らはストレートに真正面から前向きなメッセージをズドンとやってくれている。登場する ...
空中カメラ『恋するシャボン玉』【君との距離を楽しんでる ぼくら恋をしてる】
たとえば、苛立ち、どこかピリピリと神経が張り詰めているときに食事を、と思うと梯子を外すとうまくいきやすかったりする。相手がラーメンか丼の眼をしているときに、ベトナム料理のお店があってカレーもありますよ、となんてリーディングすれば、それ ...