レイラ『ふたりのせかい』
【不安の中の幸せという今の時代に決定的に必要なもの】
軽快なギターリフから始まるこの曲が、先に進むにつれてどんどんと壮大な印象に変わっていく。しかし一般的に壮大な印象を与える曲に共通している重さというものが一切無くて、心地良い。「世界が終わってしまっても」という歌詞には世紀末的な終末感が ...
Julien Baker『Hardline』
【私たちの感情を揺さぶるエモーショナルな歌声】
以前、彼女が参加するユニット、boygeniusについてはレビューしたが、ソロ(本職)としては初めて取り上げる。2月にリリースされた新作アルバム(4年ぶり3枚目)がすばらしかった。2021年上半期においても秀逸な一枚と言えるだろう。元 ...
さよならポエジー『pupa』
【正直に、弱さも見抜き、その上で強くあろうとする。そんな誠実な態度】
年度が代わり、子どもたちは卒業したり、進級したり。何歳になったらこのくらいのことが出来るようになるものとして一律に決められたカリキュラムにそって通知表が渡されたりする。人はそれぞれで、成長のスピードも得手不得手もそれぞれなのに、一律に ...
マチーデフ『I’m Reading Air』
【映像の設定自体がこの曲のコンセプトをそのまま体現しているようで面白い】
めっちゃイイ。面白い。このハードロックなサウンドと映像。ロン毛(?)の2人がどこかの山だか高原だかでカッコつけて演奏する。気分はB’zなのだろう。誰が何といおうとB’zなのだろう。曲が始まる前に控え室みたいなところに入ってくるマチーデ ...
宇多田ヒカル『One Last Kiss』
【ティーンの人たちがこのMVを、曲を、どんな風に感じるのだろうか】
知らない間に宇多田ヒカルもデビュー20年をとっくに過ぎていた。オッサンだからデビュー当時の鮮烈な印象は今もってまったく褪せていないのだけれど、それはデビュー作がバカ売れして、ミリオンが当たり前だった当時であってもその売れ方がちょっと尋 ...
麻緒『ポンコツのうた』
【居ないけど関わってる。見えないけど影響している】
『ポンコツのうた』のミュージックビデオがマルチバース。ギターを持つシンガーが「わかるよ。大丈夫、大丈夫。おっと変なやつが来たっ!」と寄り添うけど、主人公の女性には見えていない。これは、聴いている歌が人間の姿で生きている世界と、私たちが ...
犬塚ヒカリ『PATAPURIKE』
【がらんとした空間にひとり立たされているよう】
淡々と展開していく曲が、進めば進むほど澄んだダークネスに包まれていく。得体の知れない恐怖に包囲される感覚に陥っていく。パタプリケという「古いおまじない」に願いを叶えてと託すのだが、そのパタプリケとは一体なんなのか。ググってみたけど出て ...
Silk Sonic『Leave the Door Open』
【この2人のコラボに興奮が止まらない】
Bruno MarsとAnderson.Paakのコラボ。この響きに興奮が止まらない。彼らがSilk Sonic名義でデビュー曲を発表した。アルバムも制作しているらしいが、リリースがいつになるのか、詳細は今のところ不明。それ故、とりあ ...
MAGIC OF LiFE『記念日』
【きっちりと主張も存在感もある。それでいて、強すぎない】
2年半ほど前にファルセットの洪水と評したMAGIC OF LiFE。久しぶりに聴いた彼らの曲、彼らの歌はそれとは少し様子が違っていた。ファルセットが消えた訳じゃなく、今も歌の特徴の中心にファルセットがあるのだけれど、それが特別特徴的な ...
Penthouse『26時10分』
【様々な試行錯誤を繰り返した結果、ようやくここまで辿り着いたシティソウル】
東京大学発6人組「シティソウル」バンド、なのだそうだ。東大でこの音楽センスって天は二物を与えたな。と普通に思う。じゃあ本当にセンスがあって軽々とこの曲のクオリティを生み出したのかというとそうじゃないのではないか。過去のMVをふたつほど ...