ヌレセパ『寝ぼけ眼に夢の跡』
【なんか不思議。何が不思議なのかさえわからない不思議さ】
なんか不思議。何が不思議なのか、不思議の定義は一体何なのか、そんなことを考えてみても答えには到達できないだろうなと思える感じの不思議さ。フワフワとしたテイストの徹底した力の入ってなさ。ボーカルのエモトモエさんとギターのエモトヒロさんは昨年5月に結婚したというめおとロックバンドということらしい。めおとの部分はいいとして、ロックバンド? ロックなのか? この脱力ポップで? そんな疑問も湧いたので他の曲も聴いてみる。ん? 全然この曲とテイスト違う。そりゃ違う曲だからテイストも違うでしょうよと思うけれど、完全に違う。エモトモエさんの軽ーいふわふわテイストなど微塵も見せないロックナンバーにエレキギターの響きがミックスする楽曲とかあるし、画像にも、2人の、特にエモトモエさんのガッツというか、アピールしようという意思が現れている。それに対してこの曲の、このMVの力の入らなさ。断然こっちの方が好き。なんというか、普通の人が普通に努力しているのって、一般論としては尊いんだけど、ことアーチストという世界では、頑張ってる感って見せないで欲しいと思う派。もちろん一般のリスナーに見える範囲とプロにだけ見える範囲とがあって、プロのことはどうでもよくて一般のリスナーに頑張ってるのを見せるのはちょっとどうなんだろと思ってて、程度問題でもあるけれど、時としてイタい感じになってしまうことがある。あるでしょ。その点、この曲のまったく力入ってないよ感がすごい。どうしてこんな風に仕上がるのか。ホント不思議。おそらく、おそらくだけれど、この2人にはアウトドアよりインドアが似合うんだろうなどと思ったりする。だからといって今後の曲をこの曲のテイストに合わせたり、MVはすべてインドアで撮影とかすることなく、自由に自然体で、なんなら何にも考えることなくマイペースに曲やビデオを作り続けて欲しいものです。言われなくてもそうされることでしょうけどね。
(2020.6.29) (レビュアー:大島栄二)