高中正義『Eary Bird』【時代時代の代表的なギタリストの音を聞き返してみて、やっぱ高中スゴいわ】
誰とはいわないが、日本を代表するギタリストの音が、久しぶりに聴いたら「アレ、こんなにペラペラだっけ?」と驚いたことがある。いや、ペラペラだからダメということではないんだけれども、その頃にはそれがペラペラだとは感じなかったんだろうなと思うととても不思議。そういうわけで時代時代の代表的なギタリストの音を聞き返してみて、やっぱ高中スゴいわ、という結論に達する。ボーカルがいるバンドのギタリストとインストバンドのギタリストを公平に比較するのはとても難しいのだけれど、ギターが曲の中心にいてボーカルの不在を一切感じずに堪能できたのは、僕にとっては高中正義が最初だった。その頃にもフュージョンというジャンルでCASIOPEAやTHE SQUAREなどのバンドがインストで大成功するが、それはやはりバンドという単位であって、高中の場合はバンドと一緒に演奏するものの単位はギタリスト、だったのではないだろうか。曲がギターを中心に持ってくる要素を持っていたからなのか、それともギタリストがスゴいからなのか、まあ両方なのだろうが、とにかく高中正義のギターは今聴き直してみてもスゴいというのはよくわかった。ペラペラじゃなくて、高音域なのに野太いという彼のギターは本当に好み。いや僕が好きだからどうだということではないんだけどね。ついでにサディスティックミカバンド時代の高中ももう一度聴こうと思っても、YouTubeにはオリジナルの頃の映像はほとんど無いし、あっても加藤和彦メインみたいな仕上げになってて。まあ仕方ないけど。しかし当時のアルバムは全体の調和を高中のギターが勝手な方向にグイグイと演奏してて、全体にバトルのような緊張感が満ちていて、それがとっても良かった。CDを引っ張り出して聴くことにしようかなあこの週末は。
(2017.12.2) (レビュアー:大島栄二)