ヒカシュー『プヨプヨ』
【2010年代後半にヒカシューを観て聴いて】
一昨日テジナというバンドのレビューでヒカシューの話をしたので、ヒカシューを久しぶりに。2010年代後半にヒカシューを観て聴いてもあの当時に当時の若者が感じた何かをリアルに感じられるわけがないと書いたのだが、改めて聴いてみたら今見てもブッ飛んでてアバンギャルドで、やっぱスゴいや。でもこのスゴいやというのが曲者で、当時聴いた僕が当時の感触を脳のどこかに持っていて、それがある意味結晶化してしまっているわけで、彼らがまったく無名のバンドとして2018年に現れて初めて聴いた時に同じ感想を持てるのかというと、その自信はない。アバンギャルドだなあとは思うだろうけれども、それが結晶化した記憶と共に感じる何かと同じであるとは言い切れない。例えば過去にレビューをした入江陽やクウチュウ戦などにはどのくらいの人がそのすごさを感じることが出来るのか。僕自身が彼らと出会った時に何を感じられたのか。彼らがその時代に選択し得る楽器やテクノロジーとヒカシューの1980年代とは当然違うし、違うということをリスナーもまた知っていて、それで同じ土俵の上に載せることが果たしてフェアなのか。もしフェアじゃないのであればどうなったらフェアになるのか。そんな問をすることも虚しくYouTubeやSpotifyには同列で並べられていく。
まあそんなことを考えながらも、時代を超えていろいろなバンドが競うのを見るのはとても楽しいことで。いや別に競ってはいないだろうけどね。ヒカシューにはいろいろな名曲があって、代表的なのは『20世紀の終わりに』だろうが、それをレビューするのもなんだしなあと思ってコレを。アバンギャルドというか、ブッ飛び具合もこっちの方がすごいし、トータルでヒカシューっぽい。ビデオの中に敢えてビデオデッキの信号を入れている点でも、一昨日のテジナのMVと共通点があるよなあと、まあそんな感じです。ヒカシューには名曲たくさんあるのでまたいずれ別の機会で。
(※2021.7.22.時点で動画が再生できなくなっていることを確認しました。レビュー文面のみ残しておきます。)
(2018.9.22) (レビュアー:大島栄二)