ドアノブロック『プラスチック隕石』
【2010年代のアンダーグラウンドにシンパシー】
ポップで怪しい。こういうバンドを見ると音楽はますます細分化しているなあと実感する。作り込んだ世界観からはどこかの大人がアイドルグループも出尽くした感があるから別の手法で変化球を投げてみようなんて思惑でバンドマン志望の若者を寄せ集めて作り上げたお仕着せポップグループなのかと一瞬思うが、プロフィールによれば高校の同級生で結成したバンドとのこと。よく考えれば1970年代あたりでは歌謡曲だけの音楽世界にアンダーグラウンドなパフォーマーが続々出現したわけで、当時の大人では考えも及ばない奇抜なことをして、それが熱狂的な支持を集めたわけで、一部からだけだけど。だから2010年代後半の今、高校の同級生だけで結成して自分たちで奇抜なことを勝手にやってる人たちがいてもまったくおかしくないわけで。たぶんそういう人たちによるバンドなのでしょう。そう考えると1970年代のアンダーグラウンドに較べたら全然洗練されているなあと。新譜を聴けば「妖怪の紹介」という曲の冒頭で崇徳上皇の名前が挙げられていて、それだけでああマニアックな人たちに違いないと確信し、シンパシーを京都から送りたいなあと感じたりするものです。
(2018.9.25) (レビュアー:大島栄二)