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CARIBOU『Never Come Back』【心を和らげるもの、うつくしい世界に私は救われた】

レビュー掲載時には状況がどうなっているのかわからないが、Caribouの新譜が出たのは、新型肺炎によるパニック(紙製品の買い占め、突然の臨時休校、イベントの自粛呼びかけ、などなど)が始まったタイミングだった。社会全体に広がる不安の中、5年ぶりのCaribouの新譜に、文字通り、私は救われた。心を和らげるもの、うつくしい世界に触れて、重苦しい現実を一しきり忘れることができた。もちろん、このような特異な状態を抜きにしても、純粋にすばらしいアルバムだ。Caribouは、いつだって期待を裏切らない。内省的な静謐さと、空から降ってくるような躍動的な音、それに呼応して内側から感じるエモーショナルな胎動。そんな振幅の大きい(どこか有機的な)エレクトロが私の心を温めてくれる。音楽では現実そのものは直接変わらないが、それを見つめる(向き合う)人の心は動かせる。この音楽を聞くだけで、再び、つかの間の平穏と幸福に浸ることができる。ありがとう、Caribou。

(2020.3.18) (レビュアー:夜鍋太郎)


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review, 夜鍋太郎

Posted by musipl