ank『ひとりじゃないんだぜ』
【音楽そっちのけでビデオに魅入ってしまって、ちょっと反省】
メチャ大作。この手作り感溢れるMV、冒頭の「まこと0才」がまったく0歳じゃなくてちょっとグロいが、そこを乗り越えてしまえば細部のリアルをまったく省いた大道具小道具が逆に感情移入させてくれる。リアルにしようと頑張ったところでできるわけないし、リアルを狙うことで見る人からは「ここ、リアルじゃないよな」みたいなツッコミが寄せられるだろうし、だからこのくらいリアルを切り捨てた雑な作りの方が逆に感情移入できるんだなと改めて感じられた。いやいや、雑とか言ったけども作るのは大変だったろうなあと思うし、クレジットに多数の人や団体の名前が出てきてて、手作り感というのはやっぱり間違いかもなあという気さえしてきた。まあそれはどっちでもいいんだけれども。
つい映像に引き込まれるので肝心の音楽にあまり意識が向かないんだけれども、聴いていて「アレ?」と思うのはボーカルだ。ankのボーカルは女性なんだな。3回くらい観てから初めて理解した。男性ボーカルといわれても疑問を感じない。HPには「伸びやかで中性的な歌声」とあって、まったくその通りだなあと思うし、それはバンドにとっての大きな売りになるんじゃないかと確信するんだけれども、そこをフィーチャーするキャッチコピーとか、売るための方法がもっと明確になるかどうかが今後の分かれ目になるんじゃないかと部外者ながら勝手に思ったよ。まあその前にこんなに見入ってしまうビデオ作ってたら音楽がどのくらい伝わるんだろうかと心配になったりもするんだけれど、それもまあ本当に余計なお世話ですな。
(2018.11.9) (レビュアー:大島栄二)