オレンジスパイニクラブ『37.5℃』【新型コロナで微妙なこの時期に、微妙なタイトルのほのぼのソング】
東京マラソンの中止を皮切りにあらゆるイベントが中止になっていきそうなこの御時勢、37.5℃ってまた微妙なタイトルの曲。ほのぼのとしたテイストで聴いてて心地良い。37.5℃の発熱ってどうなん? ちょっと前だったらみんな無理して学校とか仕事に行ってたんじゃないかな。38.5℃を超えたあたりから「根性無しめ」と罵られつつもなんとか会社休めないだろうか的な思考が生まれ始めるとかだったんじゃないでしょうか。そりゃパンデミックもしますわね。毎年インフルが大流行するはずですよね。それを「インフル」「花粉」「桜前線」あたりが同じトーンで語られていたところを、新型コロナの衝撃って一体なんだったんだろうかって、まあ5年後くらいに再検証されるべきなんじゃないだろうかなあって気がします。どうなんですかね? 騒ぎ過ぎですかね? それとももっと怖がって警戒した方がいいんですかね?
まあ時事的な話はこのくらいにして、この曲はほんとうにほのぼのしますね。発熱への看病の仕方って、これからはマスク着用手袋着用、なんならすきまの無いゴーグル着用が当たり前とかになっていくんですかね。それはいやだなあ、面倒臭いなあ。そんなことになったら家族だって看病するの嫌になるだろうし、その結果隔離という名の放置になってしまうことも増えてしまうんじゃないでしょうかねえ。そんなに怖がらずに日常的な看病でOKみたいなこれまでの在り様が今後も一般的であって欲しいなあという気がします。ただ、この曲でおにーちゃんが37.5℃の微熱でアパートで寝てて、彼女と思われる人が看病というかリンゴをむいて食べさせてくれる。自分が世話が焼ける男で、ジジイになっても世話が焼けるジジイになる気満々で、現在世話を焼いてくれている彼女にはずっと世話を焼いてもらう気満々だという歌になってて、それはどうなんって思います。かなり古い封建的な考え方なのか、それとも単純な甘えん坊なだけなのか。もっと「君が微熱を出したらオレが甲斐甲斐しく看病するからねリンゴだってむくからね」的な方がいいんじゃないかな〜とはちょっと思うけれど、まあ考え方って人それぞれだし、ポリコレ的なことをバンドに求めるのはいかがなものかという気もするし、そういう価値観が好きっという男も女も実際にはいるし、そういう層をターゲットにした表現ということならそれもひとつの方法ではあるし、そもそも彼らの前身は8年前に結成されたザ・童貞ズらしいし、人として正しいなんとやらを求めるのもいかがなものかと……。まあ、本当に正しいことなんて決められないし、何ごとにも考え方はいろいろでいいと思います。
(2020.2.20) (レビュアー:大島栄二)