GENERATIONS from EXILE TRIBE『EXPerience Greatness』【これでもかとジェネレーションギャップをかんじさせたGENERATIONS】
昨年末の紅白でこの人たちが出てきた時、えええ、これはEXILEじゃん、イケメンボーカルとサングラス短髪ボーカルの2人組と、ダンサーたちのグループっていうパターン、まったくEXILEじゃん、と思いました。だって紅白ではフロムエグザイルトライブとかクレジットされてなかったし(多分)。おいおいそんなパターンそのままのユニットやっててええんかと思ったけれど、EXILEがやってるんだったら仕方ない。誰が文句言えようか。でもそんなほぼほぼ同じパターンの若い衆でグループ組んでみんな聴くのか、オレのところに彼らの情報一切到達してきてないし。と思ってたら昨年大ブレイクしたプロゴルファーの渋野日向子が「生で見られて嬉しいです。いつも聴いてます」とか言ってて、ああ、20歳前後の人たちにはちゃんと情報届いているんだなGENERATIONS、とジェネレーションギャップを感じましたよ。
そうだよね、ファン層の世代も新しくなれば、グループも新しい世代に変わらなければいけないよね。ジャニーズだっていつまでもSMAPじゃないし、嵐も活動停止するらしいし、TOKIOもV6も軒並み40代だし、それで20歳前後のファンにウケるわけないし、ということで「このグループ誰?」と思うようなジャニーズのグループもたくさん出てました。そりゃあEXILEだって「誰?」と思うようなグループが出てきて当然です。10代の人たちに40代50代のEXILEのファンになれという方が無理でしょう。
で、「誰?」と思ってしまったGENERATIONSですが、「???」と思ってた割りに、曲が頭に残って離れない。こりゃどういうことなんでしょうか。うん、歌が良いということでしょう。さすがは歌が上手い人にしか歌わせないEXILE方式のすごいところ。それでこうやってMVも観てみるわけですけれど、どうでしょうか、この浮世離れしたキャンパス。というかスクール。「今日は昨日より高く飛べるはず」と未来への夢を歌ったこの歌。ロックバンドがそういうテーマの歌を作ってMVを作るなら、日常に存在するダークな風景を描いて、そこに負けることなく頑張って立ち上がるんだぜ的な演出になるはずだけど、このアメリカーンな場所でみんなが歌って踊って。すべてがカラフルで無駄に明るい。歌詞には「汗を流して息切らして」とあるけれど、ここに汗の匂いはナッシングです。いや、いいですけどね。そんなことが求められているグループじゃないんでしょうし。紅白での衣装もド派手で、成人式にヤンキーが着てくるド派手和装の数倍派手みたいな、非現実感。MVの校庭にドデカスピーカーとスケボーのハーフパイプが設置されてて、みんなで踊りまくる。うん、青春だなあ。僕の遠い青春時代には一切見かけたこと無いけど。
まあそんなわけで見れば見るほどジェネレ−ションギャップを感じずにはいられない彼ら。ググって出てきた彼らのサイトはいきなりスマホ対応、というよりスマホメインのサイトだし、ボーカルの子がやってるSNSはインスタとWeibo。もはやTwitterでもなくてWeibo。いやあ、すごいなあ。そんな彼らのMVでオッサンが唯一食い付いたのが、ダンサーが着ていたシカゴブルズのユニフォーム。背番号45は1994年からの2年間だけ着けていたレアなユニフォームで、これ知ってるのは彼らじゃなくてEXILEの人たちなんだろうなあと思っておおおおっという気分になったわけです。まあそれだって彼らにとっては誰のユニフォームとかじゃなくて、単なるカラフルな衣装のひとつでしかなかったのかもしれませんけれど。
(2020.1.20) (レビュアー:大島栄二)