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モーモールルギャバン『消えて』【地味ながらもジワジワとしたインパクト】

消えて、消えて、消えて、繰り返す。様々なものが自分の目の前から消えていく。消えて欲しいものが消えることもあれば、なんで消えちゃったんだよと憤りたくなるものだって消えていく。人生はそうやって大切なものを失っていくことを積み重ねることであり、同時に失ってしまったものを取り戻そうと無駄な努力に奔走するほんのわずかな時間のことでもある。日常生活を繰り返している間は毎日毎日なんでこんなにも同じことばかりやらなければならないんだろうと思ったりもするが、ではその繰り返していた日常がある日突然消え失せた時、同じことばかりやらなくてもよくなったのに、やらなくてもよくなったという安堵の気持ちよりやれなくなったという喪失感に包まれる。

そんなことを、きっと誰もが経験しているのだろう。繰り返し繰り返し経験し続けているのだろう。そういう喪失感を消し去ってしまえるのであればどんなにか楽になれるだろうに。

モーモールルギャバンももうベテランの域に入ってきたと言っていいのか、それともまだまだそこまではという感じなのだろうか。この実に地味でシンプルな曲の中で淡々と語られるメッセージのような描写と、つぶやくようなシャウトとが、本当に地味ながらもジワジワとしたインパクトとなってズシリと迫ってくる。モーモールルギャバンってこんなバンドだっただろうかと、あらためて過去の音源を聴き返したくなる。

(2019.12.7) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl